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トップ指導者&選手特集

BJリーグ 琉球ゴールデンキングス
伊佐 勉ヘッドコーチ インタビュー

今年も有明が湧いた。
BJリーグ・ファイナル、満員のアリーナには、両チーム・ブースターたち着用のゴールドと、ブライト・ピンクが咲き誇った。
試合終了を告げるブザーと共に大きく舞ったのは、ゴールド側のビッグ・フラッグ。今季を制したのは案の定、リーグ・トップの戦績でプレイオフへ進出した沖縄琉球ゴールデンキングスだった。
2007年の発足以来、初年度こそカンファレンス最下位に沈んだが、2年目の08-09シーズンには早くも優勝。それ以来毎年プレイオフも欠かさず、11-12年には再びチャンピオンになっている、リーグ屈指の強豪チームだ。
そんな「常勝軍団」が今季指揮官として選んだのは、昨年までアシスタント・コーチを務めてきた伊佐勉。就任当初は練習すら緊張していたという伊佐HCだが、レギュラー・シーズンは43勝9敗とぶっちぎりの戦績。ファイナルでも結果は103-89という余裕の勝利で、見事大任を果たして見せた。
アシスタント時代には、選手との距離感も非常に近かったという伊佐HC。「むーさん」の愛称で慕われる、気さくで謙虚なルーキー・コーチの、ビクトリー直後の興奮をお伝えしよう。

取材日:2014年5月25日

―まずは優勝の感想をお願いします。
まず、ありがとうございました。秋田さん(ノーザンハピネッツ)と決勝を戦えて、非常に嬉しく思っている。
中村HCは凄いパワーを持っているので、終わるまでずっと怖かった。怖いがゆえに、僕は攻めるしかないので…僕は今年1年目の、ペーペーのヘッドコーチなので、攻めて、失敗しても攻め上げて、それがいい形となって優勝できたと思っている。まさか優勝できると思ってなかった。選手が頑張ってくれて優勝できた。
―今季、どんなことを意識して選手と接して来たのですか?
まず、オン、オフがはっきりできるチームにしたいと思っていた。もちろん仕事のときは真剣、でもそれ以外は普通に、先輩、後輩でもなくて、一チームメートとして接すればいいかなと思っていた。でも、選手のほうが、僕との距離感を保ってくれて。僕が特に変えたということは全くなくて、非常に過ごしやすかった。
―そのような中、今日の最後の試合、日本一を決める試合はどのように戦う覚悟だったのでしょうか。
試合前のミーティングで言ったのは、今季のテーマである「団結の力」を思う存分発揮しよう、そしてチャンピオンをつかもうということ。
―点の取り合いの展開でしたね。
取り合いになるとは思っていたが、もう少し僕らのディフェンスで抑えたかった。向こうの富樫選手が非常に素晴らしい選手で、30点取られたが…1クオーターから4クオーターまで、前からプレッシャーをかけ続けて。右が強いから左にずっと行かせて、フラストレーションがたまるように。3Qから彼の足がつり出したので、そこからいっきにギアを上げていけた。
―特に良かったところは。
100点ゲームは今季初めて。一人一人が責任と自信を持ってリングにアタックした。
僕はもう、「決めろ決めろ!」としか言えず。みんな、しっかり決めてくれた。
―1Qは同点で終えた。試合を分けたのはどこだったのでしょうか。
ディフェンスもオフェンスもゲーム・プランがあったので、それを最初から最後まで選手が一生懸命、必死になってやってくれた。1Qに入った時に、向こうのオフェンスは点を取れるなということが分かった。
あとは富樫選手をチームでどれだけ抑えられるかだったが…。それでも30点取られたけど。彼は足に来ていたので、シュート率もだんだん落ちていくことは想定できていた。富樫くんを徹底マークした並里も、チームに勝利をもたらしてくれたと思っている。
―MVPを取った岸本については?
それくらいの実力はあると思っていたから、驚きはしなかった。素晴らしい選手。
―選手たちに声をかけるとしたら、どんなことを?
今季、ありがとうと。僕は新人のHCだが、変な顔もせずに、毎日の練習も試合もほんとに一生懸命仕事してくれた。感謝の気持ちでいっぱいです。
―今、何をしたいですか?
今は眠たいです(笑)。
―優勝できると思わなかったと言っていた。なぜ?
毎試合、試合が終わるまで勝てるか分からないって思っていた。今日も、どうなるか分からないままずっと戦っていた。
具体的に、残り1分を切ったくらいで点数が離れていたので、アシスタント・コーチに「もう勝てるよな?もう勝てるよな?」って(笑)。そしたら「勝てますよ」って言ってくれたので、吉超(山城)を出そうと思ったがちょっと遅かった…。真司(新城)や昌也(猪俣)もコートでプレイさせたかったが、それができず、ダメなコーチだなと思った。
―シーズン最初に、ヘッドコーチの仕事は大変だと言っていました。
シーズンを終えて、改めて、ヘッドコーチの仕事についての感想をお聞かせください。
大変な仕事です。やるもんじゃないですね(笑)。
―優勝へのプレッシャーはどれくらい?
プレッシャーは相当あった。ここまで来たら、まあ、秋田さんもそうだったと思うが、ほんとに優勝したいし、しないと意味がないし…。
選手たちにチャンピオンリングを、勝たせてあげたい、と思って、昨日は眠れなくなった。
―ディフェンスのゲーム・プランという意味で。富樫くんには30点取られたが、田口くんと大塚くんに対しては、常にボールが回らないように左の狭いほうに行かせるのを徹底していた?
場所の徹底はそこまでしていないが、やはりフリーになったら打てる選手だし、決めてくる選手。
きょうの試合は2400秒、1秒たりとも気を抜くなと。シューター陣をマークした選手たちはそれを徹底できたと思う。
―シューターを封じられたのは大きいですよね。
そうですね。秋田さんのパターンだと、富樫くんが点を取り、そこにヘルプ(ディフェンス)が行ったときにキックして、そこからまた波状攻撃となる。
それをやられたら到底勝てないと思ったので、シューター封じは徹底した。
―そういう意味では、ディフェンス・プランについては及第点を上げられるのではないですか?
いや、それは、全然。一生懸命やってはいたが、練習する時間はなかったので。朝に、こういうふうにやるということは伝えたが。練習してない分、できないところもあったので、50点くらいかな。
―「キングスのヘッドコーチ」ということと、「ムーさん(伊佐監督の愛称)」との間の落差に、苦労することがありますか。
僕は、去年までアシスタント・コーチをしていて、実際、選手たちとの距離が近かった。性格上、そういうタイプでもあるし…。でも、HCになるからには、そういうことじゃあ絶対うまくいかないということも分かっていた。
だからと言って極端に変えたら、やっぱり若い子たちだから、「偉くなったらこうなるんだ」とか思われてしまったらもっとおかしくなるし…。だけど、選手のほうが僕との距離感をうまく捉えてくれて。体育館に入ったときは、しっかり僕をコーチとして見てくれて、終わった瞬間にはすぐにイタズラされる(笑)。そういった意味ではほんとに、僕は何も変わってない。助かりました。
―そのあたりは、マックとかジェフとか外国人選手も同じ?
そうですね。ジェフはまあ、口数が少ないけれども。マックはもう、練習終わった瞬間に「むーちゃん!」て言うから(笑)。
僕が「体育館出てからにしよう」って言うと、「ごめんむーちゃん」て(笑)。いいコミュニケーションが取れてると思う。
―常勝キングスのヘッドコーチの話を最初に言われたときは、どんな気持ちだったのでしょうか。
いつかはやりたいと思っていたから、やはり嬉しく思った。でもまあ、やってみたら、いろんなことを背負わないといけないなと…。ほんとに、大変な仕事をさせてもらっている。
―就任時は、「目標は優勝」とは言わなかったですよね。
僕はアシスタント・コーチとして2回、優勝を経験しているが、優勝というのは簡単じゃないと知っていたので、簡単にその言葉は発せられなかった。
―やはり、1試合、1試合にという気持ちのほうが大きかった。
そうですね。やはり、目先の試合をどうこなしていくか。特に新米だから、最初は練習するのも緊張していたし…。毎日毎日、こなすので精いっぱいで。大変でした。
―では、この1年、HCとして、一番学んだなと思うことは?
選手が12人いるが、同じ話し方でもだめだし、アプローチの仕方でもダメ。個々の選手の性格とかも考えながら、いいコミュニケーションをどうやって取るかということを学んだ。
―巷では、「コート上でHCは孤独だ」と、よく言われていますが…
HCを経験された方はよくそう言っているが、僕は今年、孤独だと感じたことはなかった。チームメートもチームスタッフもフロントスタッフもいるし…。一番は、妻と娘がいつもそばにいてくれて、ほんとに孤独というものは感じなかった。非常に感謝している。
―先ほど、今夜のディフェンスに関しては、50点と言っておられました。
ご自身の、今季を通してのコーチングに関しては、ルーキーイヤーとして…自己採点は何点くらいになりますか?
えー…(笑)。まあ戦績も非常に良かったが、僕は負けた試合で非常に勉強になって…。それを2回続けて失敗したことは記憶にないので…そういった意味では60点ぐらいはあげてもいいのかなと(笑)。
―辛い採点ですね(笑)。
いやいや、ペーペーなので(笑)。
―残りの40点を埋めるためには、今後はどういった部分を改善していけば?
まあ、やっぱり経験。今までのHCとかと話をしていても、やはり経験がすべてと。経験で得られることしかないということもあるので。だから、クロスゲームとかたくさんやったほうがいいですよと言われたりね。
試合をやってみると、そのときの僕自身の慌てようも感じるし。うまくいくプレイもうまくいかないプレイも…同じようなプレイをしていても、相手が違えばまたうまくはいかないこともあるし…。こっち側の選手の調子もあるし…すべてをいろんな角度から見て、短時間で決めなければいけない。そういった意味の難しさがある。だから、簡単に40点は埋まらない。
―コート上でカチャーシーを踊った気分は?
最高でした!(笑)。うちの娘もちゃんとやれるしね。

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