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トップ指導者&選手特集

藤枝明誠高等学校 バスケットボール部 三上 淳監督
藤枝明誠高等学校 バスケットボール部
三上 淳監督 インタビュー

バスケットボールというのは、非常に幾何学的なスポーツだ。
三上淳は、バスケは「将棋や囲碁」のようなものだと言う。なるほど、この駒をこのスポットにこう進めると、相手の駒はどこに出てきて、こちらをこう挟む―――コートという盤に、フォーメーションと言う名前の陣形が、無数のバリエーションで展開されていく。
WJBL監督時代、たびたび米国に渡り、デューク大やコネチカット大、スタンフォード大などNCAA名門の指導法も学んだという三上は、ハイレベルのチームから何か弱点を抱えるチームまで、ありとあらゆるチームをアップグレードしていく豊富なメソッドと戦術を持っている。
藤枝明誠高校も、昨季はインターハイ準優勝と、日本一へあと一歩のところまで引き上げてきた。名監督のバスケ哲学に迫る。

取材日:2014年4月10日

―監督ご自身、選手を経て、バスケに長い間関わってこられました。
そんな監督の、バスケに対する思いをお聞かせください。
指導のスタートは中学校だったが、そこから実業団、そして高校生と3つのカテゴリーを経験する中で…スポーツなのでもちろん勝負を優先して練習はしていくが、その過程の中で人間としてどういうふうに生きていくか、人間性を育成することを目的として、ずっと指導してきた。どのカテゴリーでも、「目標」と「目的」を分けている。「目標」は当然日本一を目指してチームを作り、一人でも日本バスケのために貢献できるような、世界で戦えるような選手を育成すること。
―監督が考える、バスケの面白さとは。
起源をたどると、バスケというのは机上で考えられたスポーツ。他のスポーツと違って、ゲーム中でも、コーチが選手を非常に助けることができる。作戦面で多岐に渡り、将棋だとか囲碁だとかと同じような感覚のものだと捉えている。
―非常に緻密、数学的ですよね。
そうですね、そういった面が非常に強い。そこが他のスポーツと違う。
―プレイヤー側の醍醐味については、どこにあると思いますか?
他のスポーツと決定的に違うのは、時間がきちっと区切られていること。攻撃の時間も区切られている。1回守ると1回攻撃するチャンスがあるために、ハイスコアになる。これだけハイスコアになるスポーツというのは、ボールゲームの中では他にはないので、そのシュートを入れる快感が醍醐味じゃないのかなと思う。
―指導上心がけていることは?
どのカテゴリーでも心がけているのは、人間性の育成。練習中でも日常生活でも。それがベースにあって、2つ目は、キメの細かさ。世界から見ると、日本の男子は特に、「日本てバスケやってたのか」くらいの認識しかない。この差と言うのは永遠に埋まらないかもしれないが、ちょっとでも追いつくためには、日本人独特のキメの細かさ、細部に渡って丁寧にバスケットをやっていく、これを指導ポリシーの2番目として考えている。
―具体的に、オフェンスとディフェンスのバランスとしては、どちらを重視した練習を?
僕が考えているバスケットボールというのは、最終的には得点を取るスポーツ。点取りゲーム。点を取れないと、頂点までは行けないスポーツだと基本的には考えている。
ただし、ディフェンスと、リバウンド、ルーズボール、スクリーンなどのダーティーワークは、どのチームでもある一定のレベルまではきちっとできなければ上り詰められない。これらのことは当たり前にできているのがベースで、その上に得点をどのくらい取れるかというのが、僕の考えるバスケットボール。
―藤枝明誠のスタイルは?
このチームはもともと、アップテンポでハイスコアのスタイルを好んでやっていたが、それだけでは現実的に頂点には行けない。ベスト4以上に行くためには、いくら点を取っても相手にも取られてしまうと、より能力が上のチームが勝ってしまうという現実がある。
去年はそこを選手にきちっと説明し、ベスト4以上で競える最低限のディフェンス、リバウンド、ルーズボールを練習し、力をつけなければダメだと。その力をつければ、今よりも得点力も伸びる。アップテンポゲームについては、僕も異存はない。より得点を伸ばすためにも、ディフェンスとダーティーワークをもっと重視して覚えなければダメだというふうに去年1年間はやってきて、それがある程度は結果として出たかなと思った。あとは、アップテンポなラン&ガンなどと言われるチームは、これは他国でもそうだが、どうしても頂点まで行くのは苦しいのが事実。
やはり身長の高いセンターがきちっといて、ハーフコート・オフェンス、セット・オフェンスでどのくらい点を取れるかというのが真に強いチームの共通点。ただ持ってって打つ、ただ持ってって打つ、というゲームのテンポでは、頂点は取れないと僕は考えている。あったとしても1回限り。
―そうですよね…。ラン&ガンだけでは限界がありますよね。
個々の選手、1人1人の力を引き出すために、工夫していることはありますか?
目的がはっきりしていて、ポイントが明確に絞られていれば、どんな練習をやっても効果は上がるというのが僕の考え方。細かい技術の指導はしていくが、練習上で気をつけなきゃいけない究極のことは、どうやって選手の心に火をつけてあげるか。これが技術指導よりももっと重要なこと。これがあれば、並の選手でもある程度までは引き延ばしてやることができる。そこが一番工夫しなければならないと思っているところ。コーチの側の声のかけ方、それに気を使っている。
―割と優しい感じ?
女子と男子の差もありますよね(笑)。やはり、きちっと理屈で説明してあげること。決して感情的にならずに。もちろん、怒鳴りつけなければならないときはあるけれど…アメリカのチームを勉強しに行って身に染みて感じた。
特に男子は、頭ごなしに怒鳴りつけても、表面上は「はい」と言っても心の中はそう思ってないので(笑)。上辺だけだと、ゲームで効果は出てこない。
―アメリカへ勉強しに行ったのはいつですか?
実業団時代で。共同石油、昔のジャパンエナジーだけど…アメリカによく勉強に行かせてもらった。
ほとんどカレッジね。デューク、コネチカット、スタンフォード…。
―名門ばかりですね。
他にも、CSLAといってカリフォルニア州立ロサンゼルス大学、日系人のデイブ柳さんというコーチがいて…ディビジョン2で弱いチームだが、非常に優秀なコーチなので、勉強に行かせてもらった。
―そのような経験を活かして、監督オリジナルの練習メニューを作り上げたんですね。
オリジナルというのかどうか…。僕は、基本シュートが入らないとバスケットにならないと思っている。得点力のない選手というのは、レベルが上がっていくにつれてふるいにかけられて淘汰されていく、たとえPGでも。
だから、シュートの練習が非常に多いんです。時間を割く。男子だから、長時間同じことをやっていると飽きちゃうので、できるだけドリルを変えながら。
―ざっと何種類?
数えたことないなあ(笑)。時間で言えば、1日3時間の練習だったら40分はシュート練習。
―今季の目標は?
全国優勝。1歩ずつ近づいて、去年のチームを上回ることが僕の目標。
―指導者の方々へのアドバイスをお願いします。
僕が勉強中の身だから、そんなこと言うのはおこがましいけど…。コーチというのはやはり、どれだけ我慢できるかということが最重要かと思う。凄いストレスがかかる仕事なので、それにどれだけ耐えられるか。選手が育ってくるのに、どれだけ我慢して見守り続けられるかが。どうしても結果を追うと怒鳴り散らしてしまうので(笑)、、
―選手へは?
2020年に東京オリンピックがある。現実的に、男子は、開催国であってももっとレベルを上げないと出られるか出られないかが分からないけど、国内だけにとらわれずに、とにかく外へ出て行って、海外の選手と戦うんだということを目標に置いて、頑張ってほしいなと思う。国内だけじゃなくてね。

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