トヨタ自動車アルバルク
KJ 松井選手 インタビュー

田臥勇太以来、アメリカン・バスケを目指す日本人選手も増えた。
KJこと松井啓十郎も、NBAを目指し、高校から単身渡米した勇者だ。
05年には、文武両道で知られるNYのコロンビア大学へ進学。NCAAのディビジョンIでプレイした初めての日本人男子となった。
持ち味は、そのシルキーなジャンパー。コロンビア大でも、3P成功数トータル173本で、大学史上3位に輝いている。
アメリカでは、バスケスキル以外にも英語力、現サンダーのケビン・デュラントとの友情など、多くの貴重なものを得て来た。現在は、本場アメリカで磨いた技術と度胸、リーダーシップを日本に持ち帰り、NBLトヨタのベテラン・シューターとして、大きな存在感を発揮している。
そんなKJはしかし、ワイルドなアメリカン・バスケに浸かった者とは思えない、穏やかで柔らか、素直な語り口。インタビューしている間にも、はからずも「癒され」てしまう―――。

取材日:2014年11月21日

―クラッチタイムでロングレンジも決めてくるというのがKJの強みだと思うのですが、今でもそのためのトレーニングなどはしているの?メンタル、シューティングドリルなど…
あ、シュート練習は毎回、ゲームのときは同じルーティーンでやっています。ホーム・シューティングから始めて、ちょっとずつ遠く打ってってというように。
あとはまあ、最近まであまりシュートタッチが良くなかったので、そういうときはやはり練習で打ち込んで自分のフォームを改善というか、元に戻すようにしてました。
―たとえばチーム練習以外に、早く来たりとか居残ったりもあるのですか?
あー、早くは来ないけど、たまに練習後にシューティングはするし、あとは遊び感覚でみんなとやったりとか。真面目にシューティングするのもいいけど、そういう遊び半分でやるときはやっぱり、自然と自分のいいときのシュートが出る。リラックスして、ゲーム感覚でやったりもしますね。
―今季のチーム、自身も含めての感触は。
そうですね、新しい選手も入って来て、新人も3人。X(エグゼビア・ギブソン)っていう外人選手も。
まだいいときと悪いときの波が激しいので、そこをこれからよくしてかなきゃいけないって思います。大きな大会、シーズン後半戦までに、トヨタらしい強さを出せるようにしていきたい。
―今の自分のチーム内での役割は?
やっぱり得点を取るということが第一だと思います。去年まで岡田というシューターがいたが今季はいず、自分に3Pの役割が求められている。まああとは、オフェンスの起点となることかな。
―コーチにいつも指示されていることは?
ディフェンスですね。シュートが入らないからと言ってディフェンスが悪くなっちゃだめだよと…。
逆に、シュートが入っているときはディフェンスもいいから。やっぱり、そのアンバランスをなくすという感じ。
―アメリカンバスケとジャパニーズバスケの違いは、いまだに感じるときがありますか?
トヨタには外人選手もいるし、そこまででもない?
いや、感じますよ。アメリカのバスケはやっぱりフィジカルというか、1番から5番までフィジカル…。
―ボディコンタクトが多いですよね。
そうそう、だからレフェリーもそれを許しちゃう。日本はちょっとしたことでファウルをぱっと吹かれちゃうんですけど…
―今日も結構…
そうそう。まあ、それは僕だけじゃなくいろんな選手も…まあ、そういうところが違うなと思うし、あとは、向こうはバスケットを凄くシンプルにやってるなと思いますね。
―コロンビア大学時代を振り返ると。
あの時代はやっぱり、楽しかったですね。普通の日本の大学に行ってたら経験できなかったこと。
MSG(マジソンスクエア・ガーデン)でもプレイしましたし、デューク大行ったり、NCAAの、カレッジのああいう、「わーーっ」ていう環境は、日本ではなかなか作れないと思うので…。
―スタイルはまったく違うとは思いますが、アメリカ時代に身に着けたバスケットボールは、今も活きていますか。
はい、もちろん。コミュニケーションだったり、声を出したり、チームをまとめるっていうのはアメリカからやっているし、あとは、自分は他の選手に比べたら運動能力がないので、頭を使ってプレイすることは心がけています。
ディフェンスを読むとか、ディフェンスは何をしたいのか考えて動く、そういうことで能力をカバーできるように。
―アメリカでは、バスケがカルチャーとして根付いてますが、日本でもそうなっていくと思う?
そうなるといいなと思ってますが…。小学校に教えに行くクリニックは頻繁にやっているし、個人的にもそういうクリニックなどはやれたらいいなと。
公園とかにも、アメリカほどじゃないけどバスケのリングもあるし…。今、バスケ界はいろいろ問題がある中で、バスケット選手を目指してくれる子がもっと増えてくれればいいなと思っています。
―KJさんのように、海外に行って頑張ってほしいとも思いますか?
そうですね、今、渡邊雄太がGWU(ジョージワシントン大)に行ってるような感じで、もっとそういうのが増えてくれればいいなって思うし、アメリカに行きたいけどどうすればいいの?って思ってる人がいたら、直接自分にコンタクトしてくれてもいいですし。
―相談にのるよ、と。
はい。たまにツイッターとかでも問合せ来るんです。そういうのはちゃんと教えてあげたい。僕も最初は分からなかったら、いろんな人に聞いたしね。
そういう意味では、僕とかタイシ(伊藤大司)とか先に行った人がいるので、どんどん使ってほしい。
―今でも、アメリカにはたまには遊びに行ったりもするんですか?
はい、今年行きました、プレーオフ見に。LA行ったし…OKC(オクラホマ・サンダー)とロケッツ戦とか見ました。KD(ケビン・デュラント)に会いにいったり。
―さて、最後に、KJに憧れている後輩たちに、アドバイスやメッセージをお願いします。
僕もジョーダンを見てバスケ選手になろうと思いました。自分はジョーダンのようにはなれないけど、あこがれの選手を持って、小さいときは楽しくプレイしてほしい。そしてこういうプロの試合などを生で観る機会があればぜひ招待したいと思うので、少しずつ、夢がかなうといいな。

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