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トップ指導者&選手特集

市立船橋高等学校 バスケットボール部
近藤 義行監督 インタビュー

12月23日に冬の風物詩ともいえるウインターカップが、バスケットボールの聖地・東京体育館で開幕する。
今回は大会直前で最後の追い込みを始めようとしている市立船橋高校バスケットボール部の近藤監督に、現在のチーム状況や大会に臨むチーム作りのこだわりなどを聞いた。

取材日:2016年12月14日

―ウインターカップが近づいてきましたが、現状のチームの雰囲気やコンディションは如何ですか?
はい。昨日テストが終わったばかりですので、今日から始動ということなんですけど。どのチームもやられていることですけど、学生の本分は勉強ということで、テストに関しては本当に重きをおいてやらせています。当然そうなると練習量はガクンと下がるので、今日からまた身体を作ってやっていこうとしております。
テスト前にウインターカップの組み合わせが決まりましたが、その時彼等に言ったことは「チーム作りをするのは最後の最後だぞ。それまでは個を鍛える。個人のスキルアップとパワーアップを」と。全国に行ったら身体負けしてしまうと、もうゲームにならなくなってしまうから誤魔化しが効きません。「とにかく個を伸ばす練習をずっとしていく。そして2人プレイとか3人プレイの、コンビネーションを合わせる、息を合わせる練習を。(千葉県)代表を勝ち取った以上、最後の最後まで目一杯練習していこう。だからひょっとしたら東京に入ってホテルで、前日にミーティングをして、チーム作りはそのミーティングだけになるかもしれない。それまでは個を鍛えるぞ」と。
―チーム作りは最後の最後なんですね。
それが今までの経験をもとに考えたことです。
あんまりチーム作りを早くしてしまうと、ピークの状態で大会に入らない時が出てきてしまいます。チーム作りを始めると今度は、選手たちがゴールに向かう闘争心であったり、相手に牙をむく、牙をむき出しにする姿勢だったり、そういうのが薄れてきます。
間違えないように動こうとか、この相手にこういうオフェンスで勝つためにって、考えすぎてしまったりします。そうなってしまうのであれば無欲無心でゴールに向かわせたり、相手に向かわせた方が高校生は強さが生まれる時っていうのがよくあるんですよ。
―この年代だからこそのチーム作りなんですね。
そうです。この年代だからこそのことです。
やっぱりトップリーグのチーム作り、戦略、戦術とは、大きく違うと思います。この高校生までのカテゴリーでは。中学校だともっとだと思います。
そしてチーム作り、オフェンスのシステムを今度はベーシック、こういう風な動きで、このベーシックで攻めようってやった時に狙いどころをいくつかポイントを置くわけですけど。そのポイントが上手くいってもそこでボールを受けた選手が決められる力を持っていなければ、それまでの動きっていうのはなんの意味もなくなってきてしまう。
そこの狙いに良いパスを出す赤穂、ポイントガードとしての赤穂がどういうタイミングでどこに、どんなパスをするかっていうのも、大事になってくるわけですね。
―それがコンビネーションなんですね。
そうです。だからそれが、こんなとこにパスきたり、あんなとこにきて。プレイとしてはシステムが上手くいっているのに、パス1つ悪かったがためにシュートチャンスが生まれなかったとか。パスは上手くいったんだけど、シューターが今度良いシュートが打てなかったとか。いったら5人の調和っていうのは崩れるので。
だからまずはチーム作りする以上に、個を鍛えて。それにメンタルを鍛えるのも最後の最後までやっていかなければならない。ちょっとした気持ちの持ち方で高校生は、力の発揮具合が全く違うので。特に1回戦なんかは緊張しちゃうし、その辺の精神力とかも。
今日はこの取材を受ける前に午前中ミーティングをしました。30、40分のミーティングでしたが、メディア対応を含めてミーティングをしました。
やはり全国、ウインターカップに行くと、勝てば何回か囲み取材を受けたりする中で、どういう風な対応をするか。
今日は吉田沙保里さんの例を出して。金メダル取れなかった、あの瞬間にテレビの取材を受けて、泣きじゃくっているところを、どんな想いで自分が言葉を出すかっていうような。スポーツ選手である以上、どんな感情になろうが、マイクを向けられたり、カメラを向けられたらそれに対して、しっかりとした想いとか、考えを口にしなきゃいけない。
そこまで考えてる選手か、どうかっていう。だから僕は高校までの間でここまでは教えられるんじゃないかなと。そうすると今もう、大学生で変な大学生いないです。大学の指導者がものすごく人間性もちゃんと鍛えながら教えながらなので。
そんな感じでとにかくウインターに向けて、あと12日なんですけど、まだまだチーム作りは。あと10日くらいはチーム作りをせずに個を鍛えて。これ、組み合わせが決まると例えば1回戦、佐世保なのか平成なのか分からないですけど。
どちらも粘り強くて、速くて。そうすると、赤穂、田村っていう2枚看板が、2枚とも必要かどうかっていうのは分からないわけですよ。1枚で戦った方が、こっちもちっちゃくしちゃった方がそのゲームにおいては、良いかもしれないです。で、赤穂はこのゲームに関しては5番で使いながら。僕のチーム作りは相手によって変幻自在にチームを、メンツを変えながらゲームが出来るっていうのが、チーム作りのスタイルなので。だから赤穂みたいなオールラウンドで1番から5番まで出来る選手を持っとけば、ジョーカーとしてどこにでも使える。まぁ、だから個人練習とかが長くなってしまうんですね。
―高校生のような若い選手だからこそ、チーム練習が少ないと、あせりのような気持ちが生まれたりはしないんですか?やはりずっと近藤監督を見てきたからこそ、選手はあせったりはしないんでしょうか?
はい。そうですね。この間も正智深谷とゲームして負けました。その前は土浦日大に来てもらってゲームして、また負けました。練習試合とか練習の段階で、大会に入る前に良すぎると後たれるだけだと思ってしまうので。少しぐらい、頑張んなきゃなって不安に思いながら、頑張ろうって思わせておいて、臨ませるくらいが丁度いいと思いますね。
だってどうやったって、どんなに上手くいった練習したって、重箱の隅を突っついたり、難癖つけて駄目出しして、それで気を引き締めていくわけですから。おおし!これで良いぞっていう風に、おだてはしませんけれど。(笑)良いことは良いとして、褒めるっていうことは毎回やってますけど。おだてて持ち上げて臨んだ時にはもう、とんでもないことが起こるって、それは思っていますから。
そんなに甘い世界じゃないですから、勝負事が。
―そういう形で大会に臨まれているんですね。
話は変わりますが、赤穂選手はオールラウンダーとして動ける選手ですが、基本はポイントカードとして起用されるんですよね。監督から見て赤穂選手の成長ぶりは如何ですか?
はい。まぁ、中学3年生の後半から高校3年間の2年半の内でぐっと背が伸びてきた子なので、身体が太くなっていかなかったですね。上に伸びているから。
そういう面で、最初はぶつかれば倒れるし、押し出されるしの繰り返しでしたけれど。ようやくここへきて、身長の伸びが少し緩まったところで肉がついてきて、少しずつ力強いプレイも出来るようになってきた。ということで、今まで持った選手の中でこれだけ高校時代に身体も、身長も技術も体力も伸びていった選手は今までにいないですね。
そしてまた、ここから先の伸びしろもまだうんと持っているっていうのは、本当に潜在能力が高い。親の遺伝を受け継いで、まだまだ。
だから僕の教え方が間違ってしまうと、彼の将来を少し縮めることになることになると思ったので。26歳をピークになるくらい、22歳東京オリンピックが大学4年生、このあたりで少し全日本に、ナショナルチームの少しかじって、候補に入る、ユニバーシアードとか。U18は最後、日韓中大会に選ばれましたけど、その前のアジアの方のU18は落ちましたので。その悔しさっていうのは持っていると思うんですよ。
だからその悔しさをもとに「今度は大学の4年生、3年4年のころにユニバーシアードの代表を狙おうぜ」っていうところで今は目標設定をしています。
それでポイントカードで使ってもらえる大学に行って、そういう意識でBリーグを目指すと。
―楽しみですね。大学はどちらに進学を?
青山学院大学です。
―そうなんですね。じゃあ来年はトップリーグで活躍する赤穂選手を見られますね。
今も仰っていましたけど、赤穂選手がU18に選出されて、監督から見て変わったなと思うところはありますか?
そうですね、彼はあまり競い合わないというか。のんびりしています。それが彼の良さであり、もうね、もどかしいんですよ。(笑)雷太がキャプテンで、きったはった、勝負かけるチームになるのかなと、最初は思いましたけど。
やはりああいう経験、代表合宿に参加させてもらっても、ここで結果出さないと篩にかけられて落とされるんだっていう世界を感じた時に、やっぱりライバルと競い合うようになってきましたよね。だれだれに負けたくないとか。だれだれより良いプレイしようとか。競い合いがそこで起きてきたっていうような。良かったことだと思いますね。
―あと、赤穂選手だけでなく、保泉選手も来年のU18候補に選ばれていらっしゃいますよね。彼はどんな選手でしょうか?
彼が来年のキャプテン候補なんですけれど、あまりリーダーシップを取れるタイプじゃない。黙々とプレイでチームを引っ張る。自分が得点取ってチームを引っ張るっていう。背中で物語るタイプで、正面向いたら喋れない。
だけどまぁ、赤穂もこれだけ成長しましたから。キャプテンっていう役割におくことでまた自覚が芽生えてくるかなと。当然バスケットボールにおいて喋らなきゃいけないっていうのは彼は分かっていることなので。喋れないことはウィークポイントであることは重々分かっているので。キャプテンっていう役割になって、今度は点とって黙々とやるだけではなくね。だから今、黙々禁止なんですよあいつ。(笑)「黙々は黙る黙るって書くんだぞ!お前黙ってるからダメなんだ」って言いながら。「お前、黙々禁止だ」って(笑)
―禁止令が出ているんですね!でもさっきインタビューした時は、しっかり喋れてましたよ(笑)
そうですか。まぁ頭は良いんでね。
彼は、野球のイチロー選手のようで。誰よりも早く来て、体育館暗い中でストレッチ始めて、それで黙々と1人でシュート打ってんですよ。本当に。
でも、それが彼のスタイルで。終わりも最後までシュート打ってますし。自分が納得いくまで、ずっとやってるんですよ。
だからその「黙々禁止だから、やっても構わないから、独り言言いながらやれ」って言って(笑)黙ってやるなって。
―独り言で良いから言葉に出すことを求めて(笑)
そう。おかしくなっちゃったんじゃないかって思われるように、言葉に出してやれって。
―保泉選手の活躍も楽しみですね。
そうですね。あと保泉の成長は3pだけじゃなく、色んな形の得点が取れるようになってきたのが。レイアップシュートもそうだし、止まってストップジャンプシュートも取れるようになってきたし。だから中々抑えづらいと思いますよ。あの子は。
―そういう選手がいると赤穂選手もパスを出す楽しみが増えますよね。
そうですね。
―ちなみに今年のチームのキーパーソンは誰になりますか?
柱は赤穂選手かと思いますが…
うーん…(笑)でもやっぱりチーム力がグンと上がったのは、田村の成長ですね。
田村が10キロ以上痩せて、彼も努力して、走れるようになって。
それであの身体ですから、スクリナーにもなるし、パスもシュートも器用なので、それも取れるし。彼の成長、まぁ結局は全員なんですけどね。
あとは、赤穂をポイントガードにするってチーム全体に公言している中で。やっぱりピラミッド型で小さい子たち、160㎝~170㎝ちょっとの子たちがいっぱいいるじゃないですか、チームの中に。だんだん大きくなればなるほど、190㎝代が2、3人しかいなくて。それでこの2人しかいない190㎝代に俺らが取るべきポイントガードのポジションを、取られちゃったと。それで小さい選手のモチベーションを上げないで、死んだ状態になっていては、チーム力が絶対上がらないと思うので、こういう言い方をしたんです。
「ポイントガードは赤穂でいく。それは監督として決めたい。まぁ赤穂の怪我とか、赤穂がどう成長していくかは別として、そういう方針でやりたい。それでお前ら小さい選手には、2番3番の2つのポジションを争ってもらいたい。争うポジションが増えたぞ。良かったな」っていう言い方。(笑)
それで実際、160㎝代を2人使っているわけですよ。増田と、石塚っていう。
相手によっては、ミスマッチが起きるので、2人で1つのポジションを交代で、選手交代をひっきりなしにやるんですよ僕は。本当に。30秒出して交代、1分出して交代とか。
ただその代わりこの2人には、とにかくフルコートでべったべたべったべたずっと、ディフェンスしまくって来いと。疲れたら交代するから。それで40分出ようと思わなくて良い。2人でシェアして20分、20分だと。40分を何試合も出来るだけの練習をしながら、実際の試合ではお前らは20分ずつだから。2倍の運動量でやれ、と言っています。
こういう特徴を今年は持ちながら、それで、大きい子をこういう形で使ってるのに、小さい子までこういう風にちゃんとポジションを与えて、やっているっていうところが今年のポイントだと思いますね。
―そういった工夫で選手のモチベーション、チーム力を上げられているんですね。
ウインターカップ初戦は佐世保工業か平成なのかどちらか分からい状態です。先ほども少し触れていましたが、改めてどのような試合になると思いますか?
どちらが勝ってくるか、こればっかりは本当に分からない。
24日に試合があるので、それを見て、帰ってミーティングして。
相手はどこでもウインターカップのシードチームの1個目、要するに所謂2回戦。こっちの1回戦っていうのは相手チームがどうあれ、会場の雰囲気に飲まれないようにすることですね。意外と暑いんですよ、コートが。暖房と1万人の人で。
だから息が上がっちゃうんです、最初。前日に1試合やっていると、試合の途中で慣れているから息が上がらないんですよ。だから1回どこで息が上がっちゃうのかっていうのを見極めて。それはもう何回も出させてもらってるから、「ああこうなるんだウインターカップって」ってあるんですよね。
そこに陥って長いこと、変な時間帯にチームを慣らさないようにするのに、監督としての手腕が問われるというか、そっちの方がメインですね。相手に対するどうのっていうより、はい。自分達が崩れないようにするにはどう持っていったら良いかなって。そんな感じです。
―インターハイもシードで2回戦からの出場でしたけど、やっぱりインターハイの初戦とは違いますか?
違いますね。違います。東京体育館はバスケットの聖地ですから。高校のバスケットは凄いお客さん入りますよね。だってBリーグは入っても5千人ですよ。(笑)1万人以上ガンと入ってますからね。まぁ、チーム関係者やチームがそんだけいっぱいいるからなんですけどね。凄い人です。
―私も去年見に行きましたけど、凄い人と熱気でした。
では最後の質問です。インターハイはベスト8でしたが、ウインターカップでの目標をお聞かせ下さい。
そうですね、やっぱりベスト8、4つ掛けのところでインターハイ優勝した福岡第一が恐らく上がってくるでしょうから。まずそこのチャレンジチケットを貰えるように頑張って。
まぁ福岡第一も小さい子も活躍して大きい子も活躍して、外国人もいてっていう、あらゆる要素を持ったチームなので。
でもうちもオールラウンダーを作ったり、工夫することによって、その要素を身に着けさせようとは努力はしているので。そこに、私学で外国から選手獲れたり、全国から集めたりっていうことが出来る学校に、この近辺の子たちのチームがどれだけ立ち向かうことが出来るかっていうのは楽しみですね。
―本当に楽しみになってきました。本日はウインターカップ直前にありがとうございました。
ありがとうございました。

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