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江戸川区立上一色中学校野球部

※江戸川区立上一色中学校 平成28年度全国中学校軟式野球大会準優勝

西尾 弘幸監督 インタビュー

指導DVD撮影後に西尾監督にインタビューを行なった。
話は練習メニューの考え方から、今話題の食育指導、更に軟式野球を選択した中学生を指導する上で西尾監督が大切にしている想いなど、長時間に及び様々な話にまで及んだ。

取材日2016年12月3日

―本日は指導DVDの収録ありがとうございました。収録の感想をお聞かせ下さい。
ありがとうございました。子供たちも私も緊張しましたが、とても素晴らしい経験が出来たと思います。こういうことは子供たちのやる気に繋がりますし、また、そのやる気はチームが強くなる原動力にもなるので、今日は本当に良かったと思います。
―こちらこそありがとうございました。本日は上一色中学校の打撃練習に焦点をあてて撮影させていただきましたが、日ごろ行なっている練習はどのように考えていらっしゃるのでしょうか?何かヒントを得て考えていらっしゃるのでしょうか?
とにかく自分でまず練習を見に行くということをしています。高校の練習を見に行ったりですね。それから野球に携わる方、ライターだったりジャーナリストだったり、そういう方にもよくお会いして色んな情報を得ています。それで例えば高校の練習を見に行って、中学生に出来る練習であれば積極的に取り入れるようにしています。
あとは通勤時間が長いので、その間、かなり野球のことを考えていますね。全国の野球仲間とメールなり、動画なりを交換したりしています。
そういうことをして色々刺激を貰いながら、うちの子供たちに何が出来るかなといつも考えて練習メニューを作っています。
しかも、中学生はすぐ飽きちゃうので、飽きない練習って言うんですかね。さっきも選手が体幹トレーニングって言っていましたけど、これをやれば役立つ、自分のためになるっていう練習に選手が飽きたとしても、反復出来るように、色んなメニューを考えています。
―そうやって練習メニューを考えていらっしゃるんですね。ありがとうございます。具体的には一週間どのように練習を行なうのですか?
火曜日は完全オフで休みです。それで、月・水・木・金が学校での練習で、月・木・金がバッティング中心になります。水曜日は守備練習を入れています。
シーズン中の休日は遠征に行くことが多いですね。それでオフシーズンは土日を、これも選手がさっき言ってましたけど冬のトレーニングを入れて、身体を作るメニューと基本を身に着ける、またレベルアップさせる練習を取り入れています。
―ありがとうございます。今、身体を作ると仰っていますが、中学生とは思えないほど皆さん身体がしっかりしていますが、何か特別な工夫をされているんでしょうか?
小学生の頃から大きい子もいるんですけど、大半の子は入学してきた時はあまり大きくありません。やはり食べることを好きになるっていうことが大事だと思うんですね。上一色中では、大きくするために無理やり食べさせるっていうことはしてはいないです。
まぁ自校給食なのでたくさん食べれば、いくらか量も増やしていただけるのですが。基本的には美味しい給食を楽しく食べて、量もたくさん食べるという。
それからお弁当に関しては、親御さんに作っていただいたお弁当をやっぱり美味しく残さず食べるっていうことが一番大切なことですね。
とにかく食事をすることを好きになってほしいという気持ちで、色々食事についても話をしたりっていうことをしています。
―体育会系の部活動ではとにかく量を多く食べることが多いイメージですが、あまり量に関しては言われないのですか?
そうですね、まぁ目標を持って、その目標に向かって、無理してもたくさん食べるっていうこともあるんだと思うんですけど。子供たちは中学生なので、出来れば食事をすることが楽しみになるようにしてほしいと思うので、あまり強制はしたいとは思っていません。
ただ、身体を大きくするためにタンパク質の取り方とか、そういうことは情報として保護者の方に、例えば野球部の新聞とかで書いて渡すとかをしています。
―食べるタイミングとかで工夫をされているということでしょうか。
そうですね。あとは栄養管理師さんとか、食事に対しての食育ですね。そういった勉強をする機会も毎年っていうわけではないですけど、出来るだけ勉強しに行っていただくこともあります。今の三年生の保護者にアスリートフードマイスターの免許を持っているお母さんがいますので、近々勉強会をやろうということになっています。
―そうなんですね。ありがとうございます。あと毎年夏、熱中症になって倒れる子供たちが多かったですが、上一色中学校ではどのような対策を取っていらっしゃいますか?
はい。とにかくまず、喉が渇いたら水分を取るのではなく、喉が渇く前に水分を少量取るということですね。一気に取らないで、少しずつ取っていくっていうのが大事だと思うんです。それから、うちは熱中症の子は全然出ないんですけど、まず1つは熱中症予防のサプリメントを飲んでいます。これ結構効果がありますね。
それと、熱中症にかかりやすいピッチャーとかキャッチャー、まぁバッテリーなんですけれど、試合では特に首とかを冷やしています。氷を用意して冷やしながら熱中症にならないような工夫をしています。
―そのような工夫があるから熱中症になる選手がいないんですね。納得です。
それでは次に試合についてお伺いしていこうと思います。まずは全中準優勝おめでとうございました。
ありがとうございます。
―今大会も上一色中学校の強みである打撃力が好調でしたけど、日ごろの練習の成果でしょうか。
そうですね、でもたくさん打てる時は本当たまたまっていうか、運もあったりしますから。また、ピッチャーとのタイミングとか、相手のピッチャーが疲れていたりとか、色々な諸条件でそういうことになっているので。私の中では0-0でいって最終回2アウト2塁で最後に1本打って、1点取って勝つっていうのが自分の中のイメージなんですね。
―上一色中学と言えば、大量得点するイメージですけど・・・(笑)
打ち勝つとは言っているんですけど、そんなに簡単なものではないので。一本欲しいなっていう時のために日頃の練習をやっているような気がします。ですから全中は、しびれるし、楽しかったです。
―では試合の戦術など、先生のこだわりがあれば教えていただきたいです。
やはり打ち勝つということを掲げていますので、バントをやらないわけではないんですけど、打ってチャンスを広げるということを絶えず考えています。
もちろんバントをする時もあります。それこそ0-0の時、バントをどうしても決めて欲しいなっていう場面もありますから、やることもあります。例えばですけど、ゴロを打って点を取ろうとすることも無いことはないです。ただ、少ないです。
―それはご指導されている子供たちが中学生だからですか。
そうですね。やはり、上に繋げるっていうことが大切だと思うので。もちろん大会に勝つことも大事なんですけど、高校から上で頑張ってほしい、活躍してほしいので。しっかり振って、しっかり打てるように、3年間軟式をやって終わった時に「やっぱり硬式をやればよかったな」って思わないように。「上一色中でやって良かったな」って思ってもらいたいので。
やはり打ち勝つという所をベースにおいてやっています。
―だから上一色中学出身の選手が甲子園に出場されたりするんですね。
1人でも多くそうなってほしいですね。ただ、やはり守りあっての攻撃なので。実はですね、勝ち進むと、守備の方の練習が凄く多くなってくるんです。
―そうなんですか?
はい。都大会終わって関東大会と全国大会に向けては守備練習を半分以上やっているんです。
―皆さん普段バッティングを中心にやっていたら、「ええ、守備練習?」とかなりません?
普段はそうなんですけども、勝ち上がっていく時には、守備練習を相当増やしています。実はその理由は普段の練習は学校の校庭なので、広さが取れなくて出来ないんです。
勝ち進んでいく頃は河川敷のグラウンドが取れたりするので、その時はバッティング練習もやるんですけど、逆に七割、八割が守備練習です。
―そうなんですね。上一色中学の守備練習もとても気になりますね・・・。
大会中、緊張感もあるかと思うんですけど、選手たちに気合をいれるための声掛けみたいなことはされますか?
最後の方の試合、うちの子たちは割と試合中でも自然と笑顔が出ています。「ここまでやってきて良かったよな」という思いが表情に出るようになってきているんですね。もちろん笑えないような本当に厳しい試合もあるんですけど。そうですね、笑顔なんかも出ながら、リラックスして試合をやっていますので、あまり気合を入れる声掛けとかはしないですね。
逆に楽しんでという意味を込めて、自分は「エス!」って言っています。
―「エス」ですか?
「エス!」っていうサインを送ってスマイル!という意味です。
―スマイルのサインなんですね!
はい。だから声掛けとかはしないんですけど「エス」って言うだけで、それだけで皆がなんだか笑うんです。ピンチが来ても「エス」って言うと皆急に「ふふっ」って笑って、「よっしゃ、行こうぜ!」ってなるから、おまじないみたいなもんですね。
だからあまり選手個々に「こうやっていこうぜ」とか、「リラックスしていこうぜ」みたいなことは言わないですね。
―そうなんですね。笑顔で楽しんで野球をするということを試合中、大切にされているんですね。
そうですね。楽しむということは難しくて、結構楽しめないんですよね、苦しいので。
でもその、瞬間、その場所にいることはとても幸せなことだっていうことは子供たちにも感じて欲しいなと思って、それを「エス」に込めています。(笑)
―「エス」にはそんな意味も込められているんですね!では試合中に先生が「エス」って言ったら、
はい。「そうか、俺たち今この場所に立てているんだ~」って、そういう気持ちになってもらえるようにしています。
―ありがとうございます。それでは最後の質問になりますが、選手の皆さんは西尾先生にとってどのような存在でしょうか?
いくら私が偉そうなことを言ってもですね、選手がいなければただのおっさんなので。(笑)
まずは上一色中学校野球部を選んで来てくれることに、本音では感謝しています。子供たちには言わないんですけど(笑)彼らあっての私なので。
なので余計厳しく、もちろん技術的にもレベルアップしてもらって、自分の所に来てよかったなと、高校、大学で少しでも野球を長くやってもらうことと、将来的には野球に携わって欲しいなとも思っています。
―先生にとって選手はとても大切な存在なんですね。選手の皆さんも先ほどインタビューで西尾先生のことを「厳しくも熱心に教えてくれる良い先生」と言っていました。
新チームも既に動き出していると思いますが、頑張って下さい。応援しています。
はい。秋大会は負けてしまったんですが、これから頑張ります!!
―今日は本当にありがとうございました。
選手インタビューはこちらから

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