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東海大学附属諏訪高等学校 バスケットボール部
入野 貴幸監督 インタビュー

長時間に及んだ指導DVD撮影後にも関わらず、快くインタビューに応えてくれた入野監督。
バスケットボールに対する想い、生徒とのコミュニケーション方法、大会に対する臨み方など、様々な考えや意見を伺いました。

取材日:2016年8月23日

―本日の収録ありがとうございました。まずは収録の感想をお聞かせ下さい。
はい、率直に今まで教えてきたことを整理させていただけました。初めてやったことでしたのでワクワクもあったし、不安もあったんですけれど、やはり新しいことにチャレンジするというのは非常に楽しかったです。ですからこういう体験を通して、生徒にも新しいことに取り組む時は不安や緊張もあるけれど、それ以上に楽しみが上回るということを学んでもらいたいなと思いました。
―ありがとうございます。
本日様々な練習メニューをご紹介下さいましたが、入野監督は練習内容など、どのように考えていらっしゃるのでしょうか?
まず練習メニューを考える際にどのようなバスケットをしたいのか、どのような選手に育てたいのか、ということを考えます。最終的なゴールを決めてからそこから計画をします。そして練習メニューを考えるヒントは、一つはバスケットの試合を一日1ゲームは時間が取れないにしても10分でも5分でも観るように心掛けていまして、そういう中からヒントを得ています。それと他種目から学ぶように努力しています。きっかけやヒントというのはいつどこに転がっているかは分からないので、常にアンテナを高くして練習メニューを考えるようにしていますね。
―そうなんですね。バスケット以外の競技を見ていらっしゃるから、あのような練習メニューを作ることが出来るんですね。
続いての質問です。監督にとって生徒はどのような存在でしょうか。コミュニケーション方法などあれば教えて下さい。
生徒がいて初めて指導者ってお互いが成り立つと思うので、私にとって生徒は非常に貴重というか大切な存在です。毎年毎年選手が入れ替わるその中で多くのことを学べますね。
世間では色々な言われ方をしていますよね。だんだん覇気が無くなってきたとか、言い方が少し悪いかもしれませんが“草食系”というような呼ばれ方をしています。しかし生徒は非常に純粋で受け答えも良く、こちらが要求すれば要求した分、もしくはそれ以上跳ね返ってくるので、私にとっては生徒という存在が非常に生き甲斐になっていますね。
―ありがとうございます。そんな大切な生徒たちに大事にしてほしいことはありますか?
やはり当たり前のことなんですけれど、感謝の気持ちを持ってもらいたいですね。私もそうなんですけれども、人って普段してもらっていることより、されたことの方を覚えていたりするんですよ。例えば生徒間で、Twitterでつぶやかれたとかありますけれど。そうではなくて普段母親や父親に支えられていること、学校の食堂や、寮の食事を作ってくれている方に支えられていることに気づき始めると、されたことではなく、普段してもらっていることに気づき始めます。そうなると本当に人として成長出来るので、生徒たちには感謝の気持ちを持って日々生活し成長して欲しいと思いますね。
―当たり前に感じてしまうことこそ当たり前ではないということですね。ありがとうございます。
話は少し変わりまして、試合について伺っていこうと思います。
入野監督は大会や試合の前に生徒たちにはどのように声をかけていますか?
緊張や不安は自分で作り出しているものだと思っています。ですから今までやってきたことに対して自信を持たせることが大切です。それと自分たちのやるべきことを明確にするように、生徒を呼んで「こういう風にやってほしい」などと個別に伝えたりしています。それを抽象的にやって出来る程まだまだ私自身、力もないですし、やはり具体的に伝えて自信を持たせるようにしていますね。
―まずは個人個人に具体的にお話されるんですね。
そうですね、こういう形で戦っていきたいという風にまず理解させないといけませんので。そしてそこから記憶させて練習して、実行させていくので、そこでチーム全体での話もするのですが、人って何か託されると責任感も出てくるし、やってやろうっていう気にもなると思うんです。そして最後に背中を押してあげるのはやはりコーチ、監督の仕事だと思いますね。
―そうなんですね。ありがとうございます。
では、試合中に大切にしていることを教えて下さい。
私はとにかくプラスのことを生徒に要求します。プラスとマイナスが揃っているのでバッテリーだと思うんですよね。選手である彼らはイケイケのプラス思考で良いと思います。私は最悪の事態を考えたネガティブなマイナス思考で良いと思うんです。こうなったら次はこう対処しようとか、それらが揃ってかみ合うと思うんです。野球でいうとピッチャーがイケイケのプラス思考だとしたら、キャッチャーが色々なことを考えていますよね。そういう発想から生徒にはプラスのことを伝えます。ミスしても時間は巻き戻せないじゃないですか。
ですから“ネクストプレイ“を常に心掛けさせます。
あと、バスケットの試合を嫌な気持ちで臨む子はいないと思うんですよ。「やりたくない」では試合に臨まないと思うので。みんな「シュートを決めよう、止めよう、リバウンド取ってやろう」っていう気持ちだと思うので、シュートミスとかに関して「なんで外すんだ」とかそういうことは絶対に言わないようにしていますね。
狙って外す子はいないと思います。ただ、監督である私自身も凄く勝ちたい気持ちだったりもするので、ボロッときつい言葉が出てしまう時もあるんですけれども…(苦笑)生徒には下を向かせないでとにかくプラス思考、ネクストプレイを心掛けさせますね。
―シュートが入らないことが連鎖して、中々一本が決まらずに嫌な空気が流れる時があると思います。そういうときはどのように声をかけていらっしゃいますか?
ありますね…それでも強気で打たせるしかないですよね。そこでちょっとこう背中を押してあげるだけで十分だと思うんです。ただその嫌な流れを変えるのは、ベンチメンバーの役割が大きいと考えています。私は結構ベンチメンバーに声をかけますね。試合に出ていない子たちに「この流れ変えるぞ!」っていう風に。不安を勇気に変えていくのはやはりチームの声援というか、仲間の声だと思うんですよね。それを今日のDVDの中で練習を皆でやっている雰囲気で感じ取ってもらえると凄く良いですね。意外とシュートを落とした子って忘れないで覚えているんですけど、ベンチで見ている子って自分が落としていないから「いけるよ!いつも通りに打てよ!」っていう風に言ってくる(笑)だからこそ、ちょっとあっけらかんとしたぐらいの方が良いのかなって気はしますね。
―ありがとうございます。では最後に、このDVDを見る方にメッセージをお願いします。
指導って本当に答えが無い、正解の無い答えをずっと追い求める作業になると思うんです。だから見てくれる人にとって何か一つのヒントになれば良いと思っています。私自身が考え、私自身の性格にあった練習スタイル、練習方法、それからメニューを今回は紹介させていただきましたので、何か一つでもお役に立てれば、それは凄く幸いですし、また皆さまからも学んでいきたいと思っています。このDVDをと言ったら過言かもしれませんが、日本のバスケット界を指導者から盛り上げていければ、また一つ良い流れになるのかなと思います。是非参考になればありがたいですね。
―私たちもバスケット界を盛り上げていけるように、頑張りたいと思います!この度は貴重なお時間をいただきましてありがとうございました。

東海大学付属諏訪高等学校男子バスケットボール部の練習法DVDはこちらです。

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