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福岡大学附属大濠高等学校 バスケットボール部
中田 嵩基/土家 大輝選手 インタビュー<前編>

高校バスケットボール界の主要大会で、常に優勝候補として注目を浴びる福岡大学附属大濠高等学校。トップ指導者&選手特集の64回目の記事では、そんな歴史ある伝統校の中で苦しい時も楽しい時も、共に同じ時間を過ごしてきた中田嵩基選手と土家大輝選手に話を伺った。
前編となる対談インタビューでは、二人が初めてお互いの存在を意識したエピソード、自身にとっての大濠高校の存在、学生生活のこぼれ話から、将来の夢についてなど、様々な話題について語っていただいた。

取材日2018年9月8日

―二人の出会いについて聞かせてください。初めて会った時のことは覚えていますか?
土家:嵩基に初めて会ったのは中学1年生の時だったと思います。福岡で開かれる関門カップという大会に自分が遠征に行った時です。中学に入学して直後くらいにある大会なんですけれど、そこで初めて会いました。
―中田選手はどういう印象でしたか?
土家:1年生なのに、バリバリ試合に出ていて20点くらい一人で取っていたんです。「うわ~化け物がいる!」と思っていました。
中田:自分は大輝と共通の友達がいるんですけれど、その友達が大輝と試合をしたことがあったので、小学校の頃から土家大輝という凄い選手がいるということは知っていました。実際に関門カップでプレイを見た時もハンドリングが凄く上手くて、こいつは化け物だなって思いました。
―そうだったんですね。では高校で一緒のチームでプレイ出来ることを知った時、どう思いましたか?
土家:凄い頼りになる選手ですし、日本一のチームになれると思いました。
中田:自分も大輝と同じです。
―二人は3年生としてチームをまとめる存在となっていますが、二人にとってチームはどんな存在ですか?
中田:自分にとって大濠は“頑張らないといけないな”と思わせてくれる存在です。僕はアンダーカテゴリーの日本代表活動とかで、チームから抜けてしまうことも結構多かったので、チームには迷惑をかけることも多かったんですが、そういう時でもチームの雰囲気は崩れずに皆が集中してレベルアップをしているおかげで、チームに帰ってきた時も、うかうかしていられないなという気持ちになります。そういう意味でもチームはかけがえのない存在だなと思います。
土家:自分は苦しい時も楽しい時もずっとここでやってきたので、自分の悪いところも良いところも全部仲間は分かってくれているなと思います。そういう意味でも日々自分を成長させてくれる場所だなと思います。
―中田選手は、昨年2年生ながらも主力としてチームを引っ張っていましたけれど、今年は最上級生である3年生としてどのような形でチームをまとめていこうと考えていますか?
中田:去年のチームは泥臭い部分を3年生が率先してやってくれていたり、学年関係なく何でも言い合える雰囲気を3年生が作ってくれていたお陰で、自分は伸び伸びとプレイすることが出来ました。だけど今年からはその環境を自分たちが作る側にならなくてはいけないし、勝敗にもこだわらないといけないので、正直凄く悩みました。でも3年生を中心に話し合って、何度もミーティングを開いてきて、やっぱり大濠高校は勝ち続けなければいけないチームなんだということを3年生全員が再認識することが出来ました。
正直に言うと練習は一番キツイことをやっていると思うんですけれど、それを全員が乗り越えてきて、やっとチームとしてまとまってきたかなと思います。今はまだ何人か怪我人がいるのですが、全員が揃えば全国で戦える、優勝を狙える位置にまで来ていると思います。あとは今年のチームの特徴でもある“全員が走れて全員がシュートを打てる。全員が守れる”というスタイルを目標としてきているので、その部分をどうやって体現していくかというところが大事かなと思います。
―土家選手は、昨年シックスマンとしてチームのピンチを何度も救う活躍をみせていましたが、今年はチーム内でどんな役割を担っていますか?
土家:昨年は3年生が作り上げてくれたバスケに自分たち2年生が付いていく形で、ただ我武者羅に自分の役割を果たすことだけを考えていたので、試合もベンチから冷静に見れていましたし、自分の役割に集中することが出来ました。それが良い方向に転べば試合でも活躍出来ていたのかなと感じますが、今年はスタートの5人に選ばれるようになって、かなり役割も変わりました。自分たちがゲームに緩く入ったらその試合はもちろん重い雰囲気になってしまいますし、今年はずっと福岡第一高校に負けてきていたので、何度も3年生でミーティングを開いて、もっと高いレベルにしようと話し合う中で、自分も3年生として厳しいことも言うようになりました。練習中も同じように厳しく声をかけるようになりましたし、そういった面では去年と違って、3年生としての責任感というか自覚が芽生えてきたかなと思います。
―続いての質問ですが、二人にとって片峯先生はどんな先生ですか?
土家:僕にとって片峯先生は凄く尊敬している人です。片峯先生は年齢も若いのに、大濠高校という伝統のある強豪校を指導されていて凄いなと思います。練習に関しても一つ一つに意味があって「この動きにはこういう裏があるよ」と全部意図を話してくれますし、自分たちも考えさせられるバスケットを教えてくれていて、凄く尊敬していますし、信頼しています。
中田:僕にとっても信頼出来る先生です。片峯先生は僕らによく礼儀にしろ、挨拶にしろ、言葉遣いにしろ「バスケだけではなくて、他のところもちゃんとしなさい」と細かく言ってくれるんですけれど、それは片峯先生自身が現役の頃にそういう部分を大事にしていたからなのかなと思うんです。先生自身も大濠高校に一般生として入部してこられて、色々と大変だった中、今、大濠で指導者として成功している。それには礼儀とか、挨拶とかそういったことを欠かすことが出来なくて、それを今の自分たちにも言ってくれているんだと思います。バスケットボールを通して、人としてどう成長出来るかということ、自分たちが社会に出ても恥ずかしくないように、先生は常に大切なことを教えてくれていると感じます。
―ありがとうございます。二人にとって片峯先生はとても尊敬出来る先生なんですね。ではここからはバスケットボール以外のことを聞いてみたいと思います。二人が知っている“大濠あるある”があれば教えていただきたいです。
土家:なんだろ…バスケ部は上下関係が結構厳しいので、1年生の間はとりあえず座れないですね。集合時間も先輩たちより早いですし、準備も早めに済ませないといけないんです。だから1年生の間はキツイと思います。
中田:大濠は勉強もしないといけないので、練習時間が短いんです。だいたい授業が16時くらいまであって練習は20時くらいまで。その練習時間が短い中で、どれだけ集中してやれるかということも大事ですし、テストで赤点を取ったらチームとしてペナルティーがあったりするので、その辺に対しては特待生だったとしても勉強はしっかりしなくてはいけないところが、大濠ならではかなと思います。
―二人が今はまっているものはありますか?
土家:はまっているもの…今年の夏休みはずっと甲子園の特集を見ていました。大阪桐蔭高校の根尾昂君の特集番組を見ながら「格好いいな」と思ったり、大阪桐蔭が日本一にたどり着くまでの道のりとか、努力している姿を見て「ああ、野球もバスケットと一緒なんだな」と思いながら他のスポーツから色々と学んでいました。
中田:僕は夏休みに欲しい物リストを作って色々欲しい物を集めたり、エアポッドをなくしてしまったので、エアポッドとか音楽関係に関するアイテムを集めることにはまっていました。それと大輝と少し似ていて、自分も甲子園の特集番組を見ていたんですけれど、優勝という結果とか栄光だけではなくて、頂上にたどり着くまでの過程に感動しながら刺激を受けていました。あと、サッカーの久保君の動画とかを見ながら「なんでこんなに動けるんだろう?」と思いながら身体の動きを見たりして、ある意味良い練習になるので、そういう動画を見ることにはまっていたりします。
―頑張っている人の努力する姿や栄光へたどり着くまでの過程を見て、刺激を受けているわけですね。
土家・中田:そうですね。
―頑張っている人から刺激を受けるのが大好きな二人に質問ですが、二人は勉強は得意な方ですか?大濠高校と言えば文武両道のイメージがありますが…
中田:勉強は大輝が凄いです。
土家:いや、それは、うん。まぁまぁです…
―得意な科目はありますか?
土家:しいて言うなら世界史です。暗記系の科目は結構得意です。
―暗記に関してコツとかはあるんですか?
土家:うーん、授業中に配られるプリントを読んで、時代の流れを覚えてから、そこから人名とか事件とかを覚えていきます。その後に資料を見直しながら、確認していく感じですね。
中田:大輝とキャプテンの山本とかは、成績上位クラスに入るレベルなんです。自分は寮生ではないんですけれど、寮で大輝と山本が凄く勉強していると聞いていて、本当に凄いなと思います。
土家:でも嵩基は代表合宿とかで授業を欠席することが多いので大変だと思います。
中田:それは正直ありますね。代表合宿などに呼んでいただくと学校を休まなくてはいけないので授業を聞けない時があります。そういったこともあるので自分は出来ることを必ずやり切るようにしています。提出物はちゃんと期限内に提出するとか、そういった当たり前のことはきちんとやろうと思っています。
―中田選手は好きな科目とかはありますか?
中田:これ!という科目はそんなにないんですけど、考えることは得意な方なので現国とか国語系は、ささっと書けるので得意な方かなと思います。あと最近は英語の成績が上がってきたなと感じるので、英語と国語は得意かなと思います。
―バスケット部以外にも大濠高校には全国大会に出場する部活が多いですね。他の部活の人と話をしたり、影響を受けたりしますか?
土家:そうですね。寮生の中にも全国で活躍している人が多くいるんですけれど「剣道部にはこういう奴がいる!」「柔道部には、こういう奴がいてマジ化物だ!」という話を聞いてはいつも他の部活の人から刺激を受けています。
中田:自分は柔道部に仲の良い友達がいるんですけれど、その子からよく話を聞いたりして刺激を受けていますね。柔道部に一人身体が凄い人がいるんですけど、その人の身体を見て、どう鍛えたらこうなるのかな?と思って身体を触らせてもらったり、トレーニングに対するモチベーションを上げたりしています(笑)柔道部は皆身体が凄いんです。スポーツが違うから使う筋肉も鍛え方も違うんですけれど、それを見て「あ、俺もしっかり鍛えないといけないな」と思うので、お互いに良い刺激になっていると思います。
―大濠バスケ部で一番きつい練習はどんな練習ですか?
中田:いっぱいありますね(笑)
土家:自分は西公園メニューがきついですね。福岡大附属若葉高校の近くに西公園という公園があるんですけど、坂もあって、階段もあって、外周も走れる公園でトレーニングをするんです。それがとにかくキツイです。
―ひたすら走るんですか?
土家:そうですね。階段とかでも色んなメニューを2セットずつやって、外周を2周、3セット走って、最後坂ダッシュを10本とか…
中田:自分はそれが組み合わせになる時が一番きついですね。西公園だけで終わるメニューの時は、自分は走れる方なので結構大丈夫かなと思うんですけど、その後に大濠公園を更に走って、その後体育館に帰ってきて3メンがある時はちょっと「なんだこれは…」と思いました(笑)
―さすが大濠の練習メニューですね。聞いているだけで疲れてきました(笑)
ところで3年生である二人はそろそろ大学生になった自分を想像すると思いますが、理想の大学生活はありますか?
土家:理想の大学生活ですか。うーん、でも大学を卒業したら就職して社会人になるわけなので、学生生活の最後と考えると、大学生活ではやっぱり勉強を頑張りたいです。勉強とバスケを両立して、たまには遊ぶみたいな。そんな感じが理想です。
中田:大学生になったら自由な時間も増えると思うんですけど、ただダラダラ時間を無駄遣いするんじゃなくて、遊ぶ時は遊んで、やる時はしっかりやるというのが、社会に出るための準備段階だと思うので、そういうところをしっかり学べたら良いなと考えています。あと勉強に関してはやっておいて損はないと思うので、勉強の方もしっかり手を抜かずに一生懸命やっていきたいと思います。
―素敵な学生生活を過ごしてくださいね。ではウインターカップへの意気込みをお聞かせください。
土家:やはり自分たちにとっては11月3日の福岡県予選が全てだと思うので、今は11月3日の試合に勝つためのことしか考えていません。まだ右足の怪我が完全に治っているわけではないんですけれど、焦らずにしっかり治して、11月3日に焦点を合わせていきたいです。自分たち3年生にとって最後のウインターカップになるので、後悔のないように一日一日の練習を、より高いレベルで出来るように、自分に出来ることを精一杯して、11月3日勝てるように、頑張りたいと思います。
中田:今年はずっと福岡第一に負けてきているんですけれど、そのことは向こうも関係ないと思っていると思いますし、僕らもそういうことを気にしている場合じゃない。一発勝負の大会というのは相手にもプレッシャーがかかるし、逆に一発勝負の試合は僕らの方が得意だと思うので、相手にどれだけプレッシャーを与えた上で臨めるかということが大事だと思います。今はチーム内に怪我人が多いので、そこに関してはしっかりと治してもらって、総力戦になった時に、僕らに分があると思うし、しっかりと自分たちのバスケットを展開することが出来れば、絶対に勝てる相手だと思います。11月3日に勝ったチームが全国優勝に絶対近づくと思うので、それまでしっかりと練習に励んで、悔いのないようにやっていきたいと思います。
―最後の質問になりますがお二人の将来の目標を聞かせてください。
土家:一番はBリーグで活躍する選手になりたいです。でもプレイヤーとしてバスケが出来る時間は限られていると思うので、引退後は指導者としてバスケに関わっていけたらなと考えています。なので大学では教員免許を取得したいと思いますし、もし大学4年間の中で気持ちが変わったとしても、何があってもいいように勉強はしっかり取り組んでいきたいです。
中田:自分もまずはBリーグに入れたら、入りたいです。ただ現役としてバスケをする時間よりも引退後のセカンドキャリアの方が絶対に長いと思うので、そこに関しては大学で、免許を取得しておきたいですし、一度は海外に行ってみてコーチングとか色んな知識を学んだ上で、指導者になりたいなと思います。それと指導者になるためには勉強とか、他のことも色々ついてくると思いますけど、まずは自分自身、プレイヤーとして実績を磨き上げた上で人に教えるということをやっていけば、更に自分も成長出来ると思うので、しっかりと活躍出来るような選手になって、将来的には指導者を目指したいと思います。
―ありがとうございます。11月3日のウインターカップ予選、将来の目標に向かって頑張って下さい。今後の活躍を応援しています。今日は長時間ありがとうございました。
土家・中田:ありがとうございました。

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