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文化学園大学杉並高等学校ソフトテニス部 野口英一監督
文化学園大学杉並高等学校ソフトテニス部
野口 英一監督 インタビュー

激戦のインターハイが終わってから1週間、個人戦・団体戦を二連覇した文大杉並の野口英一監督に、今年のインターハイについての率直な感想を聞いた。

取材日2017年8月4日

―インターハイ個人戦・団体戦ともに見事二連覇となりました。本当におめでとうございます。
今年の全国私学、そして全国選抜では三重高校が優勝、そこからどのように切り替えていったのでしょうか?
ありがとうございます。
まず、うちの目標はインターハイなんですよ。インターハイを勝てる選手を作りたい。結果として、インドアの全国私学とか選抜は勝てればいいなというスタンスなんですね。
だから、去年あの三冠は同じスタンスで、冬場のインドアに勝つためにはロビングとかカットサーブとかカットストロークとかっていうのを練習した方が勝ちやすいんです。でも、その12月から3月までのその期間、ロビング、カットってもったいないんですよ。要するに、その期間にガンガン打たせたいんです。打って打って打球力をつける。
なので、全然切り替えるということじゃなくて、選抜はけが人も出たので、私学もちょっとけが人が途中出たりして。ですから、負けることって全然恐れてなかったというか、去年は勝ってますから、負けたっていうことはまだまだ打球力、スピード、そういうものが足りない。
この時点では三重さんが本当にまとまっていたし素晴らしいチームだったので、三重さんが当然優勝するなと。うちはそこまでいってなかったので、まだまだ。ただ、インターハイに向けてこっちが先にスタート切ってるから、インターハイでは逆転しようという気持ちでしたね。子供達もインターハイでは負けないぞっていう。また、そういう練習もしてましたので。そんな感じですね。
―初めからインターハイに勝つための練習をしていたということですね。
そもそも、インターハイで勝つためには何が必要なんですか?
やはりインターハイで勝つためにはスピードが大事だと思ってるんですね。まず球のスピード。それから、テンポの速さ。より攻撃的なテニスをそこで仕掛ける。それが出来た時にインターハイに勝つと。
そういう話をして、それで頑張りなさいって。で、目標がいるじゃないですか。まず、林田・宮下っていうインターハイ優勝ペアがいるわけで、林田・宮下がよりテンポが速い攻撃的なスピードがあるテニスをするんで、それで勝ち切っているから、目の前に見本があるから、子供たちはその真似をすれば良い訳なんですね。
それで、宮下・上田(2017卒)とかまだ来ますから。一週間一回必ず。なので、そういうインターハイの上位に入っていた子たちが来て、やっぱり打ちますから、そういうスピードに対しての練習もありがたいことに学校の中で出来てしまう。
―卒業生が練習に来てくれて、より高いレベルの練習が出来ているということですね。
それでは、今年のインターハイについて感想をお聞かせ下さい。
まず小松﨑・原島は実際には登録メンバーには入ってないんですよ。
うちは個人ベスト4に入れば団体戦メンバーになれるっていう決まりがあるので、結局この子達が入ったので、入れて選手変更。そうしたら、この子達活躍しましたよ(笑)
個人戦でもあれよあれよっていう間に、この子達は試合やる度に上手くなってるんですね。で、準決勝は同士討ちで林田・宮下ペアがやられるんじゃないかぐらいの勢いで1ゲームを簡単に取って、2ゲームもゲームポイント握って、まっ、そこから取りきれなかったんで、結果的には試合は4-1で終わっちゃいましたけども、あれ本当に反対側だったら、同士討ち決勝をまたやったかなぐらいの勢いでした。
もう、入るときは初日抜ければいいかなと、64本に入れればいいかなっていうぐらいの感じだったのが、試合をやる度に上手くなっちゃうの(笑)ベンチ入ってましたけど、「えっ、こんなことができるようになるんだ。えぇ、えぇ。」っていう間に準決勝でしたね。
―これまで練習してきた成果が大舞台で発揮されたっていうことですね。
向かっていけたっていうことだと思うんですよ。もう少し言うと、要は、学校の中が厳しい。学校の中の方が厳しい試合ですよね。結果的にはインターハイの1位、3位がいたし、去年はインターハイの1位、2位、3位がいたわけですよ。だから、その中で、学校の中の試合で、A、B、C、Dに分かれてますから、それでリーグ戦をやったりするんで、外に行った方が楽。小松﨑たちも外に行って、外の方が楽で自分が思い切ってやってることが全部にいったから、勢いに乗っちゃったんですよね。結局、団体戦の3番勝負に出た一年生(鈴木・西東)も、初戦から0、0、1、1ですからね。もう勢いに乗って。決勝戦4-1ですから。
―林田・宮下ペアについてですが、個人戦の準々決勝・和歌山信愛戦の時に苦戦しているように感じた時がありましたが。
そうなんですよ。ちょっと、うちの前衛の方の宮下選手が(相手が)サウスポーだっていうんで、ちょっと守りに入っちゃって、相手が自由に打ってきちゃったんですね。それで、林田選手もなかなか対応出来ずに自分たちのペースで運べない。でも、ファイナルは見てないんですよ。小松﨑の試合が始まっちゃうんで。そっち行っちゃって。で、ファイナルは7-1ぐらいで勝ったっていうから。まぁ、自力があるのでね。
―そういった時はどのような声かけやアドバイスをするのでしょうか?
ベンチは武元先生が入っていたので、その時どう伝えたかわかりませんが、よくあるんです。宮下選手が遠慮しちゃって、ポジションが甘くなっちゃうんです。ポジションがサイドサイドに寄っちゃう。そうすると相手の子にプレッシャーが掛からないじゃないですか。なので、相手の子が自由に打てちゃうっていう。もっとポジションをしっかり中に取りなさいって言ってるはずなんですよ。中に入って、逃げないで仕掛けていかなきゃ駄目だって言ってると思う。
そうしたら、相手の打つコースが狭まりますから、林田選手が3/2も守らなきゃいけない状況だったのが、3/1でよくなれば、打つコースもこっちがしっかりしたコース打てるようになりますから。
―インターハイの舞台裏でのお話などあればお聞かせ下さい。
一番厳しかったのは個人戦の決勝の時に、準決勝終わって休んでて、さぁ、決勝に行こうって言ったら、両足つっちゃったんですよ。林田が。
林田が両足つって、たまたまトレーナーさんが一緒にいてくれたので、すぐやってもらって。だから、ちょっとスタートが遅れてしまったんですよ。集合に遅れて。やっと立てるようになってから試合開始でした。
今まで遠慮って言うか、サイドに守り気味に入ってた宮下選手に、「お前、林田がこういう状況なんだよ。思い切って取りにいかないと駄目だよ。お前だよ。しっかりやれよ!」って言ったら、決勝で12ポイント取って。林田選手も長引くと困るから、どんどん厳しいコース打ってそれが全部入って、本当にあっという間に終わりましたね。相手4ポイントしか取ってない。16ポイントのうち12ポイントが宮下選手のボレースマッシュ。しっかり自分がやらなきゃって思った時に、力があるからそれが出来るんだけど。それまでどっちかっていうと、守り守りっていう堅実なプレーしてたのが、思い切って。やっぱ気持ちの問題は大きいですよね。
決勝は2年生の原口選手。中村学園の原口監督の娘さんなんですけど、昔からよく知ってる子で去年もベスト8に入ってるんですよ。うちの宮下・上田が3-2とリードされましたから。
良い選手なんですけど、決勝戦だけは、手も足もでなかった。向こうの原口監督もベンチはお父さんだから入んなかった。試合の後に話したら「いやぁ。もうとにかく、手も足も出なかった。あんだけしっかりやられたら。だから、打たれる前に打てって娘に言っといたんだけど、もう打つどころじゃなかった。完璧。」って。
それで、なんで足がつったのかっていったら、2日目の緊張感。二連覇しなきゃっていう。そしたら、朝食事が喉を通らなくて昼も通らない。水分だけでやっていたんです。それが決勝戦の前に出ちゃった。まぁ、そういう経験をしたんで、団体戦ではなんとかしっかり食べてやってたんで大丈夫でしたね。
―林田選手にそんなアクシデントが起きていたんですね。大事に至らなくて良かったです。
それでは、今年のインターハイで野口監督が感じたこと、今だから言える戦術など宜しければ教えてください。
まぁ、団体戦としては、決勝の三重さんは、うちの方が打球力があるんですよ。スピードが。インドアはボールが止まっちゃうんで、ミスが少ない方が勝つんですけど。外はテンポが速くて。
うちに球が速い小林っていうのがいるんですけど、小林はミスが多いので、一番に出して、「負けてもいいよ」みたいな感じで。一番に出して4-0で負けて、二番は林田選手を置いて、林田選手が負けることは考えていませんから。要は次の三番勝負をどう戦うかっていうそこだけ考えてればよかったんです、相手の学校の3番出てくる子とうちの一年生の力関係を見て。
うちのは一年生だから相手は全然研究されてないんです。それで、小松﨑の方が個人3位入ったのでマークされるわけですよね。
で、うちのチームとしてはこの3番出てた子達(鈴木・西東)の方が安定感あるし、三重さんの3番と比較しても、どこの学校の3番と比較しても、うちのこのテニスをしっかりやり切れれば負けることはないなっていうのでこの子達にしたんです。
1、2番は色々変えたんですよ。選手を変えて。林田・宮下選手も一回だけ1番出したりとか相手にオーダー読まれないように、基本は2番に置いて。
そういう意味では去年は個人1、2、3位で力があったチームなのに大ピンチの連続で、準々決勝でも一時3番勝負大接戦だし、準決勝でも負けそうになって事実3番勝負で大接戦で、決勝戦も結果的に1-1の3番になって、ファイナル7-5で勝ってるんですから。もう大接戦。
ところが今年は力がこっちはないのに、一年生が大爆発。やっぱり相手がうちのチームを分からない状況の中で、うちが向かっていったこと。三重さんは全部2-0で決勝まで来たんですよ、圧倒的に勝って。うちはもう1-1の3番勝負を2回やっていた。決勝戦は3度目の3番勝負ですから、気持ちも焦ることはないし、「また3番だ。また頑張ろう。」みたいな。
三重さんは初めての3番勝負、緊張した場面で。その勢いの差もあったと思いますね。それで向こうはチャンピオンだから、やっぱり守り、受け身になる。こっちは向かっていけばいい。その差は大きかったですね。
だから、もう一回やったらどうかって分からないですよね。でも今回は本当に選抜を負けても、目標は初めからインターハイだったので切り替える必要はなかったし、逆に戦いやすかったのかなっていうのはありますよね。
―林田・宮下ペアの強さと一年生の大活躍が今年の結果に結びついたということですね。
今年のインターハイは予想を超えてくれましたよね。監督の予想を超えてくれました。
―それでは、今後の目標は何でしょうか?
チームとしての目標はやはり国体。去年国体も優勝してるんで。単独チームで。
今年も本当は他のチームが一つ入る予定で「単独にはなれないかな」と思っていたんです。ただ、小松﨑・原島がインターハイで3位になったので単独チームで出場することになりました。
最終的な目標は全日本・皇后杯を林田・宮下が優勝する。高校生でまだ優勝いないですから。そこが目標になります。
―国体二連覇、そして皇后杯史上初の高校生優勝を期待しています!
野口監督、本日はお時間いただきありがとうございました。

以上、2017年インターハイ二連覇を飾った文大杉並ソフトテニス部
野口英一監督のインタビューでした。

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