トップ指導者&選手特集

練馬区立大泉中学校 男女バドミントン部
久保 博也教諭 インタビュー

練馬区立大泉中学校で男女バドミントン部を指導する久保博也教諭にインタビューを行いました。
男女合わせて約80名の大人数で部活動を行なっている大泉中バドミントン部が、その限られた練習時間の中でチャンスをどのように活かしているのか、環境づくりの秘訣、指導に対する信念など、バドミントンにかける熱い想いを語っていただきました。

取材日2019年9月9日

―久保先生がバドミントンを始められたきっかけを教えてください。
父親がやっていたこともあり自然とやってみたいと思うようになったのがきっかけです。ですが通っていた中学校ではバドミントン部がなかったので、小中学生の頃は卓球部に所属していました。その時から高校に進学したらバドミントンをやりたいなと考えていたので、高校入学を機に本格的に始めました。
―お父様の影響だったのですね。そこから指導者になろうと思ったタイミングはいつ頃だったのでしょうか?
自分自身がまだまだバドミントンを続けていきたい気持ちが大きかったので、競技に携われる職業に就きたいなと思うようになりました。そこで自分の得意な数学も活かすことのできる職業を考えた結果、教職に就いて指導者になろうと決めました。
―実際に指導者になってみて、ギャップはありませんでしたか?
顧問や監督に求められるのは技術指導だけではなく、生徒が効率よく練習できる環境を整えてあげることがメインになるので、バドミントン以外の話をしている時間が多いですね。そういうところはギャップを感じました。
―大泉中学校のバドミントン部は約80名で部活動を行なっているとのことですが、その大人数での練習環境を作り上げるためにどういった工夫をされていらっしゃいますか?
絶対に変えてはいけないのは、必ず生徒に自分自身で決めた目標を持ってもらうことです。そうした方が自分の目標に背いてしまった時に見直しやすいので、目標に関してはこちらから提案しません。もちろんその目標を叶えるための技術や練習の指導はしますが、まず初めは生徒自身から求めてもらうようにして、全体的に生徒主体になるように心がけています。
―具体的な指導を生徒から自主的に引き出していきたいということですね。
そうですね。ただバドミントンを始めたばかりの子は自分の苦手なことが分からなくて発言できないことも多いので、そういう場合はこちらから先に声を掛けていくようにしています。ですが自分自身で気づいて行動できる選手の方が伸びると思っているので、ゆくゆくは自分から発言していける選手になってほしいなと思っています。
―部員数が多いこともあり、個性豊かな環境なのですね。その中で一人一人と向き合う時間は取りづらいと思いますが、どのように向き合われていらっしゃいますか?
最低限全体を見渡すようにしていますが、それでも一人一人に手取り足取り指導することは難しいです。生徒自身からこちらに発言してもらうのと、こちらからも意見してあげるようにするのを合わせて、わりと指導できているかなという感じです。ですがやはりその限られた環境の中で率先して指導を求める子は強くなっていきやすいので、それを他の子に指摘してあげると刺激になったりすることもあります。そういう部分も含めて技術の差の一因になっていくのかなと思っています。
―ほとんどの生徒が初心者から始めることもあり成果にも個人差が開きやすいと思うのですが、伸び悩んでいる子にはどのようなアドバイスをされていらっしゃいますか?
身体の成長にも個人差があるので、壁を乗り越えるタイミングも人それぞれ違うと思っています。なので中学3年間で達成できなかったとしても、続けたければ諦めずに頑張るしかないですし、そうやって高校や次のステップに進んでいった時にいつかは絶対達成できると声を掛けるようにしています。運動神経が色濃く反映される競技ではないので、どこかで転機を迎えるタイミングまで頑張ってほしいです。
―指導の中で逆に中学生たちから学ぶこともありますか?
こちらの指導の結果が生徒たちの取り組み方に反映されるので、そういうところで指導者側の現時点の課題を見直して参考にしています。良くも悪くもこちら次第に成長していくので、刺激をもらっています。
―指導する上で目指していることや信念にしていることがあれば教えてください。
部活動をやるのは生徒自身なので、生徒が自分で決めた目標を最後まで大切にしてあげることです。高い目標であればこちらもそれだけのエネルギーを注ぎますが、あくまで彼らの目標を大事にしてほしいという思いです。
―初心者を指導する上で注意しているところや、バドミントンの楽しさを知ってもらうためのポイントがあれば教えてください。
大きく言ってポイントは2つあります。まず初心者経験者問わず共通していることだと思うのですが、シャトルを打つ機会をしっかり与えていくことで楽しさがあるはずだと思っています。だからといって練習時間めいっぱい打っていれば楽しいかといえば、どうしても飽きはでてきてしまうと思います。トレーニングをせずシャトルを打っているだけでは自分の技術の限界がきてしまい、それが楽しさではなくストレスに変わってしまう。つまり今度はトレーニングの必要性が出てくるはずです。自分が次のレベルに上がるための必要なことや、あるいは次のレベルにあるべき姿を思い描いた状態で練習ができれば、何をやっても楽しくなってくるのだと思います。初心者の子たちも何かしらバドミントンへ憧れを持って入部してくると思うので、「そこまでいけたら楽しいだろうな」という目標を示し続けて、達成感を味わわせ続けてあげることが必要だと思います。あとは部員数も多いので、人との繋がりを大切にしています。みんなで支え合いながら頑張れる環境を作ることにより、苦しい練習でも頑張れるし、それを頑張れたら楽しさに繋がると思います。
―目標を達成できた場合や逆に達成できなかった場合、どのように声掛けをしていらっしゃいますか?
ほぼ達成しないことの方が多いですが、そういう時に声を掛けるときは大きく分けて二つですね。自分の力が発揮できたのか出来なかったのか。相手が未熟で勝ち進めたけれど最後は自分が逆の立場になって負けてしまった場合は、しっかりと試合内容を振り返るよう声掛けをしています。ただし負けてしまった場合であっても、プレー内容に満足のいく試合ができた時はそこを認めてあげる声掛けをしています。負けてしまったとしても発揮できたのならば芽生える自信があると思うのですが、発揮できず負けた場合は経験値としても薄いと思うので、そこが全然違いますね。だから結果だけではあまり決めないようにしています。
とはいえ、どうしても大人数なので勝ち負けしか聞かない時もあります。「勝ったならいいんだよ」っていう時も(笑)逆に勝ち上がって目標が達成できた時は、それがどんな内容であっても讃えるようにしています。もし勝てたけど本人にとって納得いくようなプレーができなかった場合でも、必ずその子の中に悔しさが残ると思うので、こちらからは勝てたことを認めてあげるようにしています。
―指導者として悔しかったことがあれば教えてください。
3年生が中学最後となる夏の大会で、ここは勝ちたいだろうなというところで結果を残せず悔しがる姿を見ると、やはりこちらも悔しいですね。本当に頑張ってきた姿を知っていますし、最後の大会にかける想いが伝わってくるので、僕も気持ちが入りやすくなってしまいます。
―一番声を掛けるのが難しいタイミングでもありますか?
そうですね。やはり最後なので「惜しかったね」も違いますし、進学してからも続けていくかはその子次第なので「また頑張ろう」とも言えないです。それに試合終了直後は自分の気持ちを整理する時間が必要でしょうから、時間をおいて声を掛けるようにしていますね。でも、そこまで進めたのは本気で取り組んできた証なので、最後は必ず認めてあげる言葉を掛けます。
―久保先生の考えるバドミントンの魅力とはどういうところでしょうか。
僕はまだまだ未熟者なので、実は駆け引きとか得意ではないです。自分が納得いくようなスマッシュだったり、コースやショットが決まった時を楽しみにやっているので、そこが魅力ですね。上手い人は納得のいくショットが一試合で何度も打てるのかもしれませんが、僕はそれが打てる機会も多くはないです。だから納得できなくて、理想を追い続けているのかもしれません。もしかしたら生徒の中にも自分と同じような考えの子がいるかもしれませんが、そうだとすればバドミントンと長い付き合いになっていくのでしょうね。飽きずに続けることが上達に一番近いと思っています。
―久保先生の今後の目標を教えてください。
指導者としてずっと考えているのは、最終的に上達した生徒たちと一緒に楽しくバドミントンができたら嬉しいですね。現に卒業した後も練習に参加しに来てくれる生徒もいるので、やはり楽しいですし凄く頼りになります。教え子全員がそうである必要はありませんが、そういう選手を育てていくのが目標です。あと技術指導に関しては今までなるべく時間をかけて生徒たちと一緒に過ごしてきたのですが、今後はより限られた時間の中でも効果的な指導が出来るよう、もっと勉強していきたいですね。それと指導者じゃない自分自身の目標としては、まだまだバドミントンを続けて、更に上手くなっていきたいです。
―最後に、DVDをご覧になる方へ是非見てほしいというポイントをご紹介ください。
大泉中バドミントン部でやっているありのままの練習内容を紹介しています。だからこそ他の学校でも同じように行われている練習や、むしろ他の学校の方がより効率よく行なっている練習もあるでしょうけど、どの練習も何のためにやっているか明確にポイントを伝えることを大切にしています。何よりも大切なのは、ただ動いて練習だけで成功しても勝てるわけではなく、目的を分かってやるからこそ上手くなる練習ばかりです。それを改めて確認した上で実践していただければと思います。
―何のための練習なのかを明確に、ということですね。本日はありがとうございました。大泉中と久保先生の更なるご活躍をお祈りしています。
ありがとうございました。

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