トップ指導者&選手特集

大東文化大学 男子バスケットボール部
西尾 吉弘監督 インタビュー<後編>

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第95回関東大学バスケットボールリーグ戦で首位を走る大東文化大学。(10月11日現在)初戦こそ強豪青山学院大学に黒星を喫したものの、チームの立て直しが功を奏し、以降怒涛の11連勝を積み重ねている。トップ指導者&選手特集では、そんな大東文化大学を率いる西尾吉弘監督にロングインタビューを行なった。後編となる84回では、連勝を重ねている現在のチーム状況や、アシスタントコーチを務めているU22日本代表に対する想いなどを伺った。

取材日2019年10月11日

―また、去年は熊谷選手(熊谷航…現シーホース三河)、今年は中村浩陸選手(四年PG)のリーダーシップが素晴らしいと感じましたが、その点については去年の段階から見えていらっしゃったのでしょうか?
そうですね。選手の性格であったり、練習に対する構え、取り組み方などを見ながら、毎年次年度はこの選手が中心になるだろうなということは考えながら指導をしています。その選手に対しては、チームをまとめるために必要な要素やスキルを積極的に伝えるようにしていて、去年の段階から来年は中村がペリメーターの中心になるということを想定していたので、時間を掛けながら大事に育てていたかなと思います。
―主にどういった内容を話されるのですか?
正直に言うと彼はチームをコントロールするようなタイプではなくて、自由に思い切ってプレーしたい選手なんです。もともと高校時代はポイントガードではなかったですし、他の選手と同じようにヤンチャなところもあります。だけど今はポイントガードとして、キャプテンとしての我慢というか、チームを引っ張るという役割があるので「冷静になりなさい」とか「今の場面で突っ込んでいってターンオーバーしていては駄目だよね」というようなことを話すようにしています。去年と比べてだいぶミスの回数も減ってきましたし、中村本人の中でも自信がついてきていたり「これは良い」「これは駄目だ」という判断が出来ているかなと思います。しかしこの部分に関しては今でも継続して話すようにしていますね。
―現在行なわれているリーグ戦では、初戦の青学にこそ一敗を喫しはしましたが、その後は負けなしの首位で、折り返し地点に入りました。現在のチーム状況は如何でしょうか?(10月11日現在)
成績に関しては出来過ぎというわけではないのですが、今のところまだ一敗しかしていないので、その点に関しては合格点ですね。ただ今の良いチーム状況は初戦の青学戦で負けたからこそのものかなと感じています。あの敗戦の後、丁度オールジャパン予選があり、リーグ戦が二週間開いたんですけれど、その間に凄く良い練習が出来たことが大きかったと思っています。あの時は練習の強度など、全てにおいてレベルが上がったなと感じましたし、初戦の負けが練習内容に反映していて、その後の試合にも活きているなと思っています。
―悔しい敗戦があってこその連勝があるわけですね。
はい。その後も何度も難しい試合がありましたけれど、その試合をしっかりと勝ち切れたということが我々にとっての自信にもなりましたし、選手たちとしても「やりきった」と感じ取っているのではないかと思います。
―ところで、9月には全世界が注目するFIBAワールドカップ2019が行なわれていました。西尾監督は日本代表の試合をどのように見られていましたか?
僕は現在、U22日本代表チームのアシスタントコーチをさせていただいている関係で、A代表の活動は直結していると言いますか、今回のワールドカップは他人事ではなく、身近なものと思いながら試合を見ることが出来ました。正直なところショックという気持ちと、やはり我々が指導している大学世代のレベルをどんどん上げていかなければいけないという危機感を強く感じた大会でしたね。
―選手の皆さんはA代表の試合を見て、何かを感じていたりはしましたか?
何かを感じ取っていたとは思うんですけれど、感じ方は人それぞれかなと思います。僕としてはワールドカップの直前に日本で開催した国際試合の後、選手たちを集めて「このままでは駄目だ!」と言ってはいたのですが、彼らは「何を言っているんだろう?」ときょとんとしていました(笑)少しタイミングが早かったからなのかもしれませんが、選手それぞれに感じている子もいれば、まだスッと入っていない子もいるかなと思っています。
―そうだったのですね。西尾監督は先ほど仰っていたようにU22日本代表のアシスタントコーチを務められていますが、大学生を含めた育成カテゴリーでは、今後どのような指導を展開していけば良いとお考えでしょうか?
難しい質問ですね…我々は我々に出来ることを精一杯するのが大前提ではありますが、やはりA代表を強化するためには、特に中学生や高校生世代の更なる強化が大切になってくると感じています。僕が言うのもおこがましいのですが、僕も含めて日本のバスケットボール指導者はもっともっと色々な情報を得て、協力し合い「こうしていくんだ」というような独自の考えや理論を作っていかなければならないと思います。現代のバスケット界では身長の大きい選手にもアウトサイドの動きや、ドリブルをつける技術が求められていますので、早い段階から選手の将来を見据えた指導がより重要になってきていると感じています。
しかし、そうした方針や考え方によって「では、勝たなくても良いのか?」と言われてしまうと、それは違うかなと考えています。やはり成功したら嬉しいし、勝負に勝てたらその分自信になりますので、競争心や勝ち負けに対する感覚は養っていかなければなりません。ですので将来を見据えた指導と、勝負に対する感覚、これら二つのバランスを取ることが、育成年代の指導という面で本当に難しいことだなと思っています。両方とも、非常に重要なことなので…すみません、答えになっていないのですが。
―大切なことは指導者同士が協力し合い、一つの方向を向くということでしょうか?
そうですね。僕らはA代表の話や東野さん(東野智弥…現JBA技術委員長)の話を聞いたりする機会がありますし、彼らの描くビジョンが見えているので、協会の方針に納得することが出来るのですが、日本全体がそういう流れになっているかと考えると、まだそうではないのかなと感じています。どうしても「自分たちには関係のない話だから」と捉える方々はいらっしゃいますし、でもだからこそ、それを伝えていかなくてはいけない。もっとオープンなものにしていかなくてはいけないと思っています。誰もが自分のことのように考え、感じて日々の活動に取り組んでいくことが凄く大切だと思うので、その意識の変化をどうすれば広めていけるかなと、大学カテゴリーの指導者たちでもよく話をしたりします。僕らはアンダー世代の世界大会や、A代表の試合を一番近くで見ているので、直接的に感じることが出来ますけれど、それを見ていない人たちがどうやって、その変革に対して真剣に考えてくれるか、取り組んでくれるようになるかということが、次の課題なのではないかなと思っています。
―最後の質問になります。西尾監督の今後の目標をお聞かせください。
やはり大学バスケットだと大東文化だよねと言われるようになりたいですね。「大東文化大学に行ったら、バスケットだけではなく人間性も高まる」と認識もしてもらいたいですし、今の大学バスケット界ですと東海大、筑波大という名門2校がずっとバスケット界を引っ張ってくれていますので、そこに並びたいですし、追い越したいという目標をたてています。今は一歩ずつ前に進んでいきたいなと思っています。
―ありがとうございます。残りのリーグ戦も頑張って下さい。応援しています。
ありがとうございました。

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