インタビュー

選手、指導者、チームスタッフ、報道関係者など、スポーツに携わる様々な方へのインタビューをお届けします。

東海大学付属相模高等学校 バスケットボール部
原田 政和監督 インタビュー<後編>

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毎年ハイレベルな戦いが行なわれる神奈川県予選を勝ち上がり、9年ぶりにウインターカップへの出場権を獲得した東海大学付属相模高校男子バスケットボール部。トップ指導者&選手特集87回目と88回目では、チームを率いる原田政和監督のロングインタビューをお届けします。後編となる88回目では、ウインターカップ予選にまつわるエピソードと本大会への意気込みなどを語っていただきました。

取材日2019年10月10日

―ウインターカップ予選は8校によるトーナメント方式で行なわれましたが、どのような心境で挑まれたのですか?
初戦に横須賀学院さんと、その次の準決勝で桐光学園さんと対戦する組み合わせが発表された時、「やるしかない」その一心でした。桐光学園さんと戦わせていただくのはこのウインターカップ予選で4度目だったんです。県の新人戦は十数点差、関東大会の予選では一点差、インターハイ予選でもリバウンドを支配されまたもや十数点差で負けていたので、冬の予選が4度目の挑戦になりました。なので、初戦の横須賀学院との試合は色々と難しかったですね。能力の高い選手がたくさんいてゲームに緩く入ってはいけないのに、緊張もあったのかなと思いますが、前半もたついてしまいました。でもそれもある意味仕方ないのかなと。やはり夏の予選に負けてから、チーム全員が“何度も負けた桐光学園に勝つために”という気持ちで努力をしていましたし、私自身も夏の間ずっと桐光学園さんを意識した練習や練習試合を重ねていましたから。
―準決勝では桐光学園と対戦することになりましたが、見事勝利をおさめられましたね。試合後の雰囲気は凄かったのではないですか?
凄かったですね。だけどその時に「この雰囲気はまずい!」と感じました。これはすぐに自分達だけの空間を作らなければ駄目だと思い、盛り上がっている子供達をすぐに撤収させて、試合後の体のケアと捕食を摂らせてミーティングをしました。あの時は選手達に何も考える隙を与えないよう、間髪入れずに指示を出しました。
―何も考えないようにですか?
はい。勝ったチームが、自分達が勝ったからという理由でバカ騒ぎをしてはいけないと日頃から指導をしていますし、そこは徹底していかなければ駄目だと思います。また、結局準決勝に勝てたとしても明日の決勝に勝てなくては意味がありません。今はSNSというものがありますよね。私の携帯にもありがたくも試合後に、沢山の方からお祝いのメッセージが届きました。そのことを生徒に話して「こんなに沢山の人からお祝いのメッセージが届いている。だけど今はそういう言葉に耳を傾けてはいけない。そういう言葉に目が眩んで、戦う準備のための自分の時間が削られたり、明日の決勝戦の準備を怠るようなことが絶対にないように、今日はSNSを閉じなさい」と伝えて、すぐに帰らせるようにしました。
―高校生にとってはSNSとの付き合い方は難しい課題ですよね…
私は基本的にSNS全てを禁止にしてはいないのですが、やはりマナーや価値観、ルールなどを設けていくことが大事にはなりますね。我々はSNSに対してはいくつかのルールを決めて、その上で「東海大相模高校の学生として自覚を持ちながら使うように」と指導をしています。正直に申し上げると、この時代でSNSを禁止にするのは難しいことだと思います。ですので、子供達から完全に取り上げるのではなく、使い方やマナーを厳しく指導し、トラブルに巻き込まれないようにしていくべきかなと考えています。
―話を予選に戻させていただきますが、翌日の法政二高との決勝戦はまさに死闘でしたね。
そうですね(苦笑)法政二高の鈴木恭平監督とは、国体でもかなり長い期間一緒にやらせていただいている関係で、私自身、尊敬している指導者の1人でもあります。決勝戦は振り返ると一進一退の攻防が40分間続いていたゲームでしたので、本当に我慢比べという一言に尽きる試合だったと思います。戦術のやりあいになると鈴木先生のペースにはまってしまうと思い、私自身は「勢い」を大切にしてシンプルなベンチワーク、ポジティブな声掛けを意識しました。
―戦術に対して細かく指示を出したりせずに、ですか?
そこまで極端ではなかったと思いますが、とにかく苦しい状況であれ、流れの良い時であれ、「強さ」と「速さ」と「粘り強さ」を強調した声掛けだったと思います。法政二高さんからしたら「あれ?」と思ってくれた局面も多少はあったのではないかと思います。所謂、策の潰し合いのようなゲームにはならず、私達の良い部分と法政二高さんの良い部分のぶつかり合いが随所にあらわれる清々しいゲームというものを表現出来たのかなと思っています。それは相手が切磋琢磨している法政二高であり、鈴木先生だったからだと思います。
―試合で何本も速攻が決まりましたが、“走るバスケット”は意識されているのでしょうか?
意識しています。今年の始めは、インサイド陣がチームのスピードに中々ついてこられなかったこともあり、サイズを小さくしながらも走るバスケットを展開していました。しかしインターハイ予選でリバウンドの面で痛い目にあい、夏の間トレーニングをしっかり行なったことで、走力が付いてきて、今ではある程度ですが理想的な布陣でやれているかなと思います。やはりチームスタイルを貫くためにも、フィジカルトレーニングの重要性に目を向けることに立ち返ったことが良かったと思います。しかし、そこまでいくには時間が必要となってきます。
―フィジカルですか。9月に行なわれたFIBAワールドカップでも、フィジカルについては色々と取り上げられていましたね。
そうですね。フィジカルが鍛えられていないと技術が発揮出来なかったり、コンタクトによる疲労がどんどん溜まってしまい頭がクリアな状態で動けないんです。敵にぶつかってしまったら、そこでお終いというのは嫌なので…やはり我々のスタイルとしては、身体の使い方はもちろん柔軟性や姿勢、そういった部分を一番に重視をしながらも、体重をしっかりと増やして高く飛ぶ、速く走る、素早く動けるというようなところを目指してやっています。私の恩師である陸川章監督が指導されている東海大学シーガルスと同じスタイルのトレーニング理論になります。目指しているスタイルは高校カテゴリーであっても大学生がプロを目指して努力することと全く変わりありません。筋肉がついて体重が増えたからと言ってパフォーマンスが下がるということはほとんどありません。むしろ、パフォーマンスや怪我の予防にもなる柔軟性向上に、物凄くプラスになっていると感じます。そういった意味では付属高校としての高大連携がうまくいってきているのかなとも思います。
―どおりで卒業生の佐土原選手が、大学カテゴリーでも素晴らしい活躍をされているわけですね。
あの子はちょっと特殊ですけれど(笑) 私は約二年間、彼を見てきましたけれど、単純にフィジカルが強いということはもちろんですが、彼の一番凄いところは、バスケットに対する欲が人並外れて強いというところですね。本人の中で“こういう選手になりたい”というビジョンが明確で、高校生の時から既に「プロになりたい」ということを言っていた子でした。もちろんその目標に見合う努力もしていましたし、本当に「成長したい」という欲が強い子だなと思いましたね。何よりバスケットボールが大好きなんだろうと思います。
―高校時代からしっかりした考え方を持っていたんですね。
そうですね。今思えばですが(笑)かなりしっかりしていると思います。強豪校と対戦すると3、4人に囲まれることもあったので、たまにやり過ぎてしまうこともありましたが(苦笑)それでもコートの上で自分をしっかり主張することが出来る選手でした。また、彼は練習に対しても一切手を抜かない子でした。毎朝シューティング練習を欠かさず行なっていましたし、練習でも全力を出し切ってヘロヘロになるくらいやっていました(笑)学校の先生方にご迷惑をかけてしまっていた部分もあったかと思いますが、基本的に明るい良い子でしたので可愛がっていただいていたと思います。
―続いての質問です。既にウインターカップへ気持ちは切り替わっているかと思いますが、チームの雰囲気は如何でしょうか?
実は先日まで茨城県でU16の国体がありましたので、私は10日間くらいチームから離れていて、昨日久しぶりに練習をみました。(※10月10日現在)不在の間も副顧問の五十嵐先生からの報告も受けておりましたが、三年生を中心に練習やトレーニングはかなりハードにやっていたようでしたので、今年の三年生のモチベーションは凄いなと感心しました。そういった部分に関しては大きな心配はしていませんが、逆に考えると、もう1ランク上のレベルに上げていきたいなと考えてはいます。選手達は本当に一生懸命頑張っているのですが、一生懸命頑張るだけになるのではなくて、更にその上にある一生懸命さというか、頑張りの質を高めていきたいと思っています。ハードに頑張るということが当たり前に出来るようになってきたのであれば、その上を目指すというか、例えば対戦相手の苦手とするような部分をいち早く見つけて、そこを起点に攻められるだとか、幅広いスタイルに対応出来るようなバスケットIQを高くするなど、今後はそういう面に目を向けていきたいなとコーチサイドとしては考えています。
―頑張る姿勢はもう十分に出来ているということですね。
そうですね。フィジカルコーチは彼らに対して「本当に真面目に頑張る子達ですね」と称えてくれます。そういう意味では、間違いのない子達が間違いのないようにここまで育ってきてくれているなと思います。
―まだ抽選が行なわれていませんが、組み合わせが気になりますね。(※10月10日現在)
はい。こればっかりは何も言えません。来るべき日を待つのみです。ただ非常にありがたいことに、11月と12月に神奈川県協会のご厚意によりBリーグ、川崎ブレイブサンダースの前座試合として、千葉県代表と東京都代表の高校と対戦させて貰える機会を頂きました。まだ詳細は決まっていないのですが、大きい体育館で、多くのお客さんの前で試合をさせていただけるということなので、そういう機会を大事にしたいなと思っています。
―それは良い経験になりますね。
試合ですので、当然勝ち負けも意識はしますけれど、ウインターカップと同じような流れを自分達で設定して、良い経験が積めれば良いなと思います。
―ウインターカップへの意気込みをお聞かせください。
試合では自分達らしさをどのくらい出せるのかが鍵になるかと思います。対戦相手がどうこうというよりも、どんな相手であっても真面目に一生懸命、高校生らしく頑張るということが自分のモットーですし、選手達に求めている部分でもあります。勝ち負けは当然大事です。出来ることなら勝ち続けたいですけれど、例え負けたとしても応援して下さっている方々から「良かったよ」とか「最後まで諦めずに戦っていて素晴らしかったよ」と言っていただけるようなゲームをしたいと思います。例え、負け試合だったとしても途中で試合を諦めて、頑張る姿勢が見られなくなるようなことは凄く嫌なので、神奈川県を代表して全国大会で戦うんだという自覚とプライドを持って、自分達らしく戦いたいなと思います。
―それでは最後に、原田監督の今後の目標をお聞かせください。
神奈川県予選を勝ち続けるということは、難しいことだと思うのですが、出来る限り全国大会へ出場する回数を増やして、私も指導者として、もう1ランク2ランク上にレベルアップをしたいと考えています。それこそ全国大会での試合経験をこれから沢山積んで、出来ることであればベスト8以上を狙っていけるようなチームを作っていきたいです。しかし先ほども申し上げたように、私はプロコーチではないということと、陸川監督から学んだ「自分自身が納得いくようなベストを尽くし続けることが成功である」という教えがありますので、選手達が「東海大相模でバスケットを教わって良かった」と、私にバスケットを教わって良かったと最終的に思って貰えるような指導者になりたいなと思います。素晴らしい指導者を見ていると卒業生がいつも学校へ戻って来てくれるんですよね。当時は厳しく指導されたりしたけれど、大人になってありがたみを感じて戻って来たり、大事な試合の前に必ず応援に来てくれたりするんです。だから私もそういうような指導者になりたいなと思っています。
―今からウインターカップがとても楽しみです。皆様のご活躍を応援しています!
ありがとうございます。ひたむきに、挑戦したいと思います。頑張ります!

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