日本体育大学 男子バレーボール部
山本 健之監督 インタビュー<前編>

ティアンドエイチでは、新型コロナウイルス感染拡大により、様々な影響を受けている教育現場の状況を多くの方に知っていただきたいと考え、「教育現場の今」を特集するスペシャルインタビューを行なっております。
特集の第五回目では、日本体育大学男子バレーボール部監督の山本健之先生にロングインタビューを行ないました。前編では自粛期間中の選手たちの様子や、自粛明けの全体練習に向けて春先から取り組んでいたこと、更にはバレーボール部が徹底して行なっている感染症対策などについてお話しいただきました。

取材日2021年1月29日

―今シーズンは新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令や部活動の自粛など、様々なことが起きた一年間だったと思います。日本体育大学男子バレーボール部の皆様は緊急事態宣言が出された春ごろ、どのような形で活動をされていましたか?
実は昨年の2月にハワイ遠征に行っていまして、帰国日が3月1日だったんです。もし2、3日スケジュールがずれていたら大変なことになっていただろうなというくらい、ギリギリのタイミングで日本に帰ってこられました。帰国してからも全国的に大変なことになっているなと感じましたし、ニュースを見る限りどんどん感染が広がっていくので、どうしたものかと思っていました。時期的に活動をしていく最中でしたし、春リーグが開催されるという方針で我々も動いていましたので、政府の指針や大学、協会のガイドラインを加味しながら、自分たちの行動を見直して活動をしていくしかできませんでした。連盟の監督会議の中でも様々なことを話し合ってきましたし、各大学の練習状況も連絡をこまめに取り合ってきましたが、最終的に春は中止になってしまいました。それで、一体いつこの状況が収まるのか?と考えた時に、6月の東日本インカレやその次の大会を目標に掲げて、それに向けて頑張ろうと言ってはいましたけれど、結局のところ試合がないので、色んな方と話をしていてもモチベーションを保つのが大変だと言われていましたね。ただ、うちの選手たちはどちらかというとそこはキープできていたのかなと思います。
―それはどうしてですか?
それは私がしつこく言い続けたからです(笑)選手たちには「いつ試合が組まれてもできるように準備をしていこう」と言い続けてきました。試合というものは始まってしまえばどんな内容であれ成立してしまいます。「練習していないから負けた」は言い訳になりますから。ですので「どんな状態でもいつでも試合ができるように」と言い続けて、限られた環境や時間の中でずっと練習を続けてきました。実際に自粛期間中選手を帰省させるなど、一度解散した時はバレーボール部だけでなく全てが止まりましたし、生活も一変しましたので、これは仕方がないと考えていました。ただ、今度はそれぞれで練習をしなくてはいけない状態になりましたので、その時はラインでメニューを送りながら、学年ごとに細かく報告を入れてもらったり、一人一人トレーニング映像をこちらに送ってくるようにと指示を出していました。また、助手の山内先生ともすぐに連絡が取れ、いつでも映像が確認できる環境をオンライン上に作るなど、選手同士が常に𠮟咤激励しあいながら有意義なトレーニングを行なえるような環境作りを意識してはいました。
―自粛期間明けの活動はいつ頃から再開されたのですか?
全体の練習は8月になってからスタートしました。その全体練習に向けた準備として7月には集合しようかなと考えていたんですけれど、各家庭の事情や、地域によって少し温度差もありましたので全員が大学に集まるのが難しく、活動は8月の頭からになりました。なので選手たちには「それまでにそれぞれの課題をクリアしておいてください」と伝えました。
―それぞれの課題とは?
自粛期間に入った春先に8月から全体練習をすることを提示していたので、それに向けてのそれぞれの課題です。我々は8月に向けて月単位、週単位でメニューを組むなど、かなり細かくスケジュールを作ってトレーニングを続けてきました。それは何のためかと言うと「全体練習でこういうことをするから、個人が強化を進めておかないと、置いていかれるよね」ということに繋がるからです。プロ野球のキャンプと一緒で、キャンプ前に選手たちは自主トレをするわけじゃないですか。ですので、春から7月末にかけては全体練習に向けて個人が体を作っていく、その段階でした。
―選手たちは8月の全体練習に向けて、それぞれの課題に向き合ってこられたということですね。
ただ、一人でトレーニングをするわけですからさぼれることはさぼれます。自分のペースで良いとは思いますけど、選手の様子を見ながら「二ヶ月後のキャンプスタートに貴方は間に合うの?」と声をかけたりはしました。でも怪我を抱えていた選手や、疲労が溜まっていた選手は、今回の自粛期間で骨格筋力が増えたりと、良いトレーニングが積めたんじゃないかなと思います。中にはもっとガッツリやりたい選手もいただろうし、もう少しスローペースで進めていきたい選手もいたとは思いますが、8月までという長いスパンで考えてみると、選手たちは良い状態で戻ってきたなと感じました。
―それは自粛期間での取り組みが良い方向に繋がったということでしょうか。
そうですね。良かったことの方が多かったと思います。高校の指導者の方々に話を聞くと、身長が伸びて帰ってきた選手が沢山いると言っていました。やっぱり彼らは成長期だし、自粛期間中はご飯をしっかり食べて寝て、適度な運動を繰り返すわけですから高校生だと身長が伸びる子が多いんです。
―自粛期間にはそのような効果もあったわけですね。ところで、練習を再開させる時、感染症対策はどのようなことをされていたのでしょうか?
消毒の徹底と外出を控えるということは、本当に口うるさく言ってきました。消毒に関しては、消毒液を詰めたボトルを10本以上作って、練習中常に持ち歩きながらひたすら消毒をするんです。消毒液は早い段階から用意し、徹底してやっていた方だと思います。また、現在も継続していることですが、外出する際は必ず行き先を報告してもらうように徹底しています。大学の隣にあるスーパーと目の前にあるコンビニは別ですが、青葉台駅の近くに行く時は一言報告を入れてもらうようにしていました。要は自分の住んでいるエリアは会う人がほぼ固定されていますけど、知らない人、普段関わらない人と接触する可能性が高い場所に行く時は必ず報告してもらうようにしています。活動を再開してからもそこは徹底していますし、できるだけ外出を控えてもらうようにしています。また、練習試合も少しずつですけどできていたので、遠征の際は極力人数を絞ったり、公共交通機関を避けてマイクロバスで移動するなどの対策をしていました。
―練習に対して人数制限などはありましたか?
現在もそうですけど、大人数での練習を控えるようにという方針が大学からもあったので、半分の20人弱に分けた形で活動をしています。8月のキャンプスタートの時には、他所の大学さんはあまり外に出てキャンプを張ることはできなかったみたいですけど、我々は大学も、行くキャンプ地やホテルの方々も理解してくださったのでキャンプを組むことができました。もちろん、もしものことがあった場合の対策も細かく決めて、全て段取りをした上で合宿を行ないました。おかげ様で今のところ、一人も陽性者は出ていないですが、夏より現在の方が感染者は多いので、今まで以上に気を引き締めてやらないといけないなと思ってやってきています。
―8月の全体練習で、久しぶりに全員で活動する様子を見て、山本先生はどのように感じられましたか?
最初に感じたことは「選手たちが飢えていた」ということです。人と会うこともそうだし、仲間と一緒にボールを触って、バレーボールができることに対する喜びが見えました。だからと言って大きな声でじゃれあったりする時には「いやいやちょっと待て、ソーシャルディスタンスだ(笑)」と冗談を交えながら注意をしたりしてね。ただ、皆それぞれが感染対策をして、検査も受けてきたということもあり、安心感があるんだとは思います。なので余計に練習以外での行動に目を光らせておかないと、練習場に持ち込む可能性があるので、気を付けながら活動を続けています。
後編に続く

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